「学習活動」と「言語活動」はどう違う? 指導案の「学習活動」の欄に何を書けばいいのか

「学習活動」と「言語活動」はどう違う? 指導案の「学習活動」の欄に何を書けばいいのか 授業づくり

学習指導案の「本時の展開」には、たいてい「学習活動」という欄があります。そして国語の指導案には、もう一つ「言語活動」という言葉が出てきます。単元の目標の近くに「言語活動:〜を紹介する文章を書く」と書かれていたりします。

この二つ、似ているようで、まったく違う言葉です。混ざってしまうと、指導案が読みにくくなるだけでなく、授業そのものが「活動はにぎやかだったけれど、何が身についたのか分からない」ものになりがちです。

この記事では、「学習活動」と「言語活動」の定義をはっきりさせて、それぞれを指導案でどう書けばいいかを整理します。あわせて、国語でよく出てくる「指導事項」という言葉との関係も見ていきます。

それぞれの言葉の定義

「学習活動」とは

学習活動は、授業の中で子どもが行う一つ一つの活動のことです。

教科書を読む、ノートに書く、友達と話し合う、実験をする、発表する、問題を解く。授業の中で子どもがしていることは、全部、学習活動です。

指導案の「本時の展開」の「学習活動」の欄には、子どもが何をするかを、時間の順に書いていきます。「1 前時の学習を振り返る」「2 本時のめあてを確かめる」「3 3場面を読み、ごんの気持ちが分かる言葉に線を引く」というように、子どもを主語にして書くのが一般的です。

学習活動は、どの教科にもある言葉です。国語でも算数でも体育でも、子どもがすることは学習活動です。

「言語活動」とは

言語活動は、言葉を使って、話す・聞く・書く・読むなどを行う活動のことです。

ここまでは学習活動とあまり変わらないように見えますが、学校の言葉として使うときには、もう少し特別な意味があります。

国語の学習指導要領(平成29年告示)では、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の各領域に、(1)として身につけたい力(指導事項)が示され、(2)として「(1)に示す事項については、例えば、次のような言語活動を通して指導するものとする」と書かれています。そしてその下に、「説明や報告など調べたことを話したり、それらを聞いたりする活動」「物語を読み、内容を説明したり、考えたことなどを伝え合ったりする活動」のような言語活動の例が並んでいます。

つまり、国語でいう言語活動とは、身につけたい力(指導事項)を育てるために、単元を通して行うまとまった言葉の活動のことです。単元のゴールになるような、少し大きな活動を指すことが多いのが特徴です。

たとえば、「物語を読んで、好きなところを紹介するカードを書く」「調べたことをリーフレットにまとめる」「読んだ本の推薦文を書いて、交流する」。こうしたものが、国語の単元で設定される言語活動です。

国語以外の「言語活動」

言語活動という言葉は、国語だけのものではありません。学習指導要領の総則では、言語能力の育成を図るために、各教科等の特質に応じて言語活動を充実することが示されています。

算数で自分の考えを式や図を使って説明する、理科で実験の結果から考えたことを書く、社会で調べたことをもとに話し合う。こうした活動も、それぞれの教科での言語活動です。ただ、国語以外の教科では、言語活動はその教科の内容を深めるための手段であり、言葉の力そのものを育てることが目的ではない、という点が国語とは違います。

「指導事項」とは

ついでに、国語でよく一緒に出てくる「指導事項」も整理しておきます。

指導事項は、学習指導要領に示されている、その学年で身につけさせたい力の項目のことです。国語なら、たとえば「登場人物の行動や気持ちなどについて、叙述を基に捉えること」のような項目がそれにあたります。

国語の単元づくりでは、「どの指導事項を、どの言語活動を通して指導するか」を決めるのが基本の形です。

並べてみると

言葉 ひと言でいうと 大きさ 指導案のどこに出るか
学習活動 授業の中で子どもがする一つ一つの活動 小さい(数分〜1時間) 本時の展開の「学習活動」欄
言語活動 指導事項を育てるために行う、まとまった言葉の活動 大きい(単元全体) 単元の目標・単元の計画のあたり
指導事項 学習指導要領に示された、身につけさせたい力 ― 単元の目標・評価規準

関係を一言でいうと、指導事項(つけたい力)を、言語活動(単元を通した活動)を通して育てる。その言語活動は、毎時間の学習活動の積み重ねでできている、ということになります。

混ざると何が起きるか

言語活動が目的になってしまう

国語の授業でよく起きるのが、言語活動そのものが目的になってしまうことです。

「リーフレットをつくる」という言語活動を設定した単元で、子どもたちは一生懸命リーフレットをつくります。色をぬり、イラストを描き、見出しを工夫する。できあがったものは立派です。でも、単元が終わってみると、「説明文の段落の役割を読み取る」という指導事項の力は、あまりついていなかった。こういうことが起こります。

これは、言語活動を「つけたい力を育てるための手段」ではなく、「完成させるべき作品」として扱ってしまったからです。よく「活動あって学びなし」と言われるのは、このような状態のことです。

防ぐには、単元を計画するときに、言語活動と指導事項をセットで書くことです。「説明文の段落の役割を読み取る力をつけるために、リーフレットをつくる」と書けば、リーフレットのどこで段落の役割を意識させるかを考えるようになります。

学習活動の欄に、先生がすることを書いてしまう

指導案の「学習活動」の欄に、「3場面を読ませる」「気持ちを考えさせる」と書いてあるものを見かけます。これは、先生がすること(指導)を書いてしまっている状態です。

学習活動は、子どもがすることです。「3場面を読む」「ごんの気持ちが分かる言葉に線を引く」と、子どもを主語にして書きます。先生がすること、たとえば「線を引いた言葉を全体で確かめる」「気持ちの変化を板書で整理する」は、「指導上の留意点」や「教師の支援」の欄に書きます。

この書き分けができていると、指導案を読む人が、子どもの動きと先生の動きを分けて追えるようになります。

学習活動が細かすぎる、または大ざっぱすぎる

学習活動をどのくらいの細かさで書くかも、迷うところです。

細かすぎると、「教科書を開く」「ノートに日付を書く」のようなことまで並んで、何が大事な活動なのかが分からなくなります。大ざっぱすぎると、「3場面を読み、話し合う」の一行で20分が過ぎてしまい、何をどう話し合うのかが見えません。

目安としては、1時間の学習活動を4〜6つくらいに分けると読みやすくなります。そのうち、本時の中心になる活動を一つ決めて、そこだけは少し詳しく書く。たとえば「ごんが兵十のかげぼうしをふんで歩いた理由を、本文の言葉をもとにノートに書き、グループで伝え合う」のように、何をもとに、何をして、どうするかが分かるように書きます。

国語の単元で、言語活動をどう選ぶか

言語活動を選ぶときには、次の順番で考えると、目的と手段が逆にならずにすみます。

1. まず指導事項を決める。 その単元で、学習指導要領のどの事項の力をつけるかを決めます。教科書の単元の扉や指導書に書かれていることが多いので、そこから確かめると早いです。

2. その力が「使われる」言語活動を探す。 つけたい力が、活動の中で必ず使われるものを選びます。登場人物の気持ちの変化を読む力をつけたいなら、気持ちの変化を説明しないとできない活動、たとえば「物語のあらすじと、いちばん心に残った場面を紹介するカード」などが候補になります。

3. 子どもが「やってみたい」と思えるかを考える。 言語活動は、子どもにとって目的のある活動であるほど力を発揮します。誰に向けて、何のために書くのか、話すのかがはっきりしていると、子どもは本文を読み返す理由をもつことができます。

4. 毎時間の学習活動に分ける。 言語活動を完成させるために、何時間目に何をするかを並べます。このとき、それぞれの時間の学習活動が、指導事項のどこにつながっているかを確かめます。

たとえば4年生の物語の単元で、「登場人物の気持ちの変化を、場面の移り変わりと結びつけて想像する」力をつけたいとします。言語活動を「お気に入りの場面と、そこでの登場人物の気持ちの変化を紹介する文章を書く」に決めたら、単元の流れは次のようになります。

  • 1時間目:全文を読み、初めの感想を書く。単元のゴールの文章の例を見る
  • 2〜5時間目:場面ごとに、登場人物の気持ちが分かる言葉を探し、気持ちの変化を表にまとめる
  • 6時間目:お気に入りの場面を選び、その場面での気持ちの変化を説明するメモをつくる
  • 7時間目:紹介する文章を書く
  • 8時間目:文章を読み合い、感想を伝え合う

2〜5時間目の「表にまとめる」という学習活動は、言語活動の材料をつくる時間であると同時に、指導事項の力を直接育てる時間でもあります。こうして学習活動と言語活動と指導事項がつながっていると、単元の最後の文章にも、読んで考えたことがちゃんと表れてきます。

学習活動を書くときの「動詞」の選び方

学習活動の欄を書くとき、いちばん気をつけたいのは動詞です。

「考える」「理解する」「気づく」「味わう」。指導案でよく見る動詞ですが、これらは子どもの頭の中で起きることなので、外から見ても分かりません。参観した先生には、子どもが本当に考えているのか、ぼんやりしているのかが判断できません。

そこで、学習活動の動詞は、できるだけ外から見える動きにします。

  • 読む(声に出して読む、黙って読む、くり返し読む)
  • 線を引く、丸で囲む、付箋をはる
  • 書く(ノートに一文で書く、表にまとめる、メモをつくる)
  • 話す(となりの人に説明する、グループで伝え合う、全体で発表する)
  • 比べる(二つの場面を比べて、違いを書く)
  • 選ぶ(三つの中から一つを選び、理由を書く)

「考える」を使いたいときは、「考えたことをノートに一文で書く」のように、考えた結果が見える動きまでをセットにします。こうすると、先生自身も、子どもが本当に考えられたかどうかを確かめやすくなります。

評価は、どの学習活動で行うか

学習活動と言語活動の関係が分かると、評価の場面も決めやすくなります。

単元の評価は、言語活動の成果物だけで行うものではありません。たとえば、紹介文を書く単元なら、最後にできあがった紹介文だけでなく、途中の時間に書いた「気持ちの変化の表」や「紹介する場面を選んだ理由のメモ」も、指導事項の力が表れる大事な材料です。

私は、単元の計画を立てるときに、「この指導事項の力は、どの時間の、どの学習活動で見るか」を表の中に書きこむようにしています。全部の時間で全部の子どもを記録するのは無理なので、記録に残す場面を決めておくと、評価に追われずにすみます。そして、言語活動の成果物は、単元の最後にまとめて見る材料として使います。

こうしておくと、「完成した作品の出来ばえ」だけで評価するのではなく、「読んで考えた過程」を見ることができます。言語活動が手段であることを、評価の面からも確かめられるわけです。

国語以外の教科での言語活動

算数や理科でも、言語活動を意識すると授業が変わります。

算数なら、答えを出すだけでなく、「なぜその式になるのか」を、図や言葉を使って友達に説明する活動。理科なら、実験の結果を書くだけでなく、「結果から何が言えるか」を、予想と比べて書く活動。社会なら、調べた事実をもとに、「自分はこう考える」を理由をつけて話す活動。

これらはどれも、その教科で身につけたい力(算数の考え方、理科の考察、社会の思考・判断)を、言葉を使うことで深めるための活動です。国語のように言語活動を単元のゴールにすることは少ないですが、1時間の中で言葉を使って考えを表す場面を一つ入れるだけで、子どもの考えは目に見えるものになります。

よくある質問

「言語活動」は、国語の指導案に必ず書かなければいけませんか?

決まった書式があるわけではありませんが、国語の単元の指導案では、どの言語活動を通して指導するのかを書くのが一般的です。学習指導要領が「言語活動を通して指導する」という形をとっているので、単元の目標や単元の計画のところに、言語活動を一文で書いておくと、読む人に単元の全体像が伝わりやすくなります。

学習活動と言語活動が同じになることはありますか?

あります。たとえば、短い単元で「スピーチをする」という言語活動を設定した場合、本時の学習活動にも「スピーチをする」が出てきます。ただ、学習活動はその時間の一部分、言語活動は単元全体を通したもの、という見方の違いは残ります。

言語活動例にないものを選んでもいいですか?

学習指導要領の言語活動は「例えば」として示された例なので、そこにないものを選んでもかまいません。大事なのは、選んだ活動が指導事項の力を育てるものになっているかどうかです。

「単元を貫く言語活動」とは何ですか?

研究会などで耳にする言葉で、単元の最初から最後までを一つの言語活動でつなぐ、という考え方です。単元の1時間目に「最後にこれをする」というゴールを示し、毎時間の学習をそのゴールに向けて積み重ねていきます。子どもが見通しをもちやすくなるよさがある一方で、活動の完成ばかりに目が向くと、先に書いた「活動あって学びなし」になりやすい面もあります。単元というまとまりそのものの考え方は、「『単元』『題材』『本時』はどう違う?」に書きました。

まとめ

学習活動は、授業の中で子どもがする一つ一つの活動。
言語活動は、言葉を使う活動。国語では、指導事項の力を育てるために単元を通して行う、まとまった言葉の活動。
指導事項は、学習指導要領に示された、身につけさせたい力。

指導事項を、言語活動を通して育てる。その言語活動は、毎時間の学習活動でできている。この三つの関係が頭に入っていると、指導案の書き方も、授業の組み立て方も、ずいぶん楽になります。

活動がにぎやかなのに手応えがない、と感じたときは、「この活動で、どの力をつけようとしているのか」に戻ってみてください。答えがすぐに出てこなければ、そこが見直しどころです。

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