「単元」「題材」「本時」はどう違う? 学習指導案に出てくる「時間のまとまり」の言葉

「単元」「題材」「本時」はどう違う? 学習指導案に出てくる「時間のまとまり」の言葉 授業づくり

学習指導案を開くと、最初のほうに「単元名」「単元の目標」「単元の指導計画」と並び、後半に「本時の目標」「本時の展開」と続きます。教科によっては「単元」ではなく「題材」と書いてあることもあります。

毎日使っている言葉なのに、いざ「単元って何?」と聞かれると、説明に困る言葉でもあります。「教科書の一つのお話のこと」と答えたくなりますが、それだけでは少し足りません。

この記事では、学習指導案に出てくる時間のまとまりの言葉、「単元」「題材」「本時」、それに関わる「小単元」「時数」「授業時数」までをまとめて整理します。

それぞれの言葉の定義

「単元」とは

単元は、一つのねらいに向かって、いくつかの時間をひとまとまりにした学習のまとまりのことです。

大事なのは「ねらいに向かって」という部分です。単元は、ただ時間を区切ったものではありません。「この力をつけるために、この教材を使って、この順番で、何時間かけて学ぶ」というまとまりです。

たとえば国語で「物語を読んで、登場人物の気持ちの変化を読み取り、感想を書く」という単元なら、1時間目に全文を読んで感想をもち、2時間目から場面ごとに読み、最後に感想文を書いて読み合う、というように、何時間かがひと続きになっています。この全体が単元です。

教科書でいえば、一つの物語や説明文を中心にしたまとまりが、だいたい一つの単元にあたります。ただし、単元は教科書の区切りと必ずしも同じではありません。教科書の二つの教材を組み合わせて一つの単元にすることもあるし、一つの教材を二つの単元に分けることもあります。単元を決めるのは、教科書の区切りではなく、ねらいです。

「題材」とは

題材には、二つの意味があります。

一つは、学習の中で取り上げる事柄やテーマという意味です。作文で「夏休みの思い出」を書くなら、夏休みの思い出が題材です。この意味については、「『教材』『題材』『教具』『学習材』はどう違う?」で詳しく書きました。

もう一つは、音楽・図画工作・家庭で使う、学習のまとまりの名前という意味です。これらの教科では、学習指導要領やその解説でも「題材」という言葉が使われていて、指導案でも「単元名」ではなく「題材名」と書くのが一般的です。

つまり、音楽・図工・家庭の「題材」は、国語や算数の「単元」と同じ役割の言葉です。教科によって呼び方が違う、と覚えておけば大丈夫です。

なぜ呼び方が違うのか。はっきりした理由が一つに決まっているわけではありませんが、これらの教科では、何を表すか、何をつくるか、何を歌うかという「取り上げる中身」と、学習のまとまりがぴったり重なることが多いからだと考えると、納得しやすいと思います。

「小単元」とは

小単元は、大きな単元をいくつかに分けたときの、一つ一つのまとまりのことです。

社会科や理科でよく使われます。たとえば社会科の「わたしたちのくらしと水」のような大きな単元の中に、「水はどこから」「きれいな水をつくる」「水を大切に使う」のような小さなまとまりがある場合、その一つ一つが小単元です。

小単元にもそれぞれのねらいがあり、それが積み重なって大きな単元のねらいになる、という関係です。

「本時」とは

本時は、学習指導案の中で、くわしく書く1時間(その日に行う授業)のことです。

指導案は、単元全体の計画と、その中の1時間の詳しい流れでできています。単元全体の中で「今日見てもらうのは、この1時間です」というのが本時です。研究授業なら、参観者が見る1時間が本時になります。

指導案の「単元の指導計画」の表に「本時」と書かれた行があるのは、単元全体の中で、その1時間がどこにあたるかを示すためです。「全8時間中の5時間目」と書くと、参観した先生は、子どもがそれまでに何を学んできたかを想像しながら見ることができます。

「時数」「授業時数」とは

時数は、その学習に使う授業の時間の数のことです。「この単元は10時間扱い」「全8時間」のように使います。

小学校の授業の1単位時間は45分が基本です。学校教育法施行規則には、各教科などの年間の標準授業時数が定められていて、学校はそれをもとに年間の計画を立てます。教科書の指導書に書かれている各単元の時数は、その年間時数を単元ごとに割りふった目安です。

並べてみると

言葉 ひと言でいうと 使う場面
単元 一つのねらいに向かう、何時間かのまとまり 国語・算数・社会・理科など
題材 取り上げる事柄/音楽・図工・家庭の学習のまとまり 作文のテーマ、図工・音楽・家庭の指導案
小単元 大きな単元を分けた一つ一つ 社会・理科など
本時 指導案でくわしく書く、その日の1時間 指導案の後半
時数 学習に使う時間の数 単元の計画、年間指導計画

大きいほうから並べると、年間の計画、その中の単元(題材)、さらにその中の小単元、そして1時間の本時、という入れ子の関係になっています。

混ざりやすいところ

「単元」と「教材」が同じになってしまう

いちばんよくあるのが、単元と教材を同じものだと考えてしまうことです。国語の教科書では、一つの物語が一つの単元の中心になっていることが多いので、「単元=その物語」と思ってしまいがちです。

でも、単元は「学習のまとまり」、教材は「学ぶための材料」です。たとえば「物語のおもしろさを紹介しよう」という単元で、教科書の物語を一つ読み、そのあとで同じ作者の別の本を読んで紹介文を書くなら、教材は複数あっても、単元は一つです。

この区別がつくと、単元を組み立てるときの自由度が上がります。教科書の教材を中心にしながら、図書館の本や、子どもの身近な材料を組みこむこともできるようになります。

「本時」だけを考えてしまう

研究授業の準備では、どうしても本時の1時間に力が入ります。でも、本時は単元の中の1時間にすぎません。本時の前の時間に子どもが何を学んできたか、本時のあとにどこへ向かうのかが分かっていないと、本時の目標も決まりません。

私は、指導案を書くときに、本時の展開から書き始めないようにしています。まず単元の目標を書き、単元の計画を表にして、その中で本時がどんな役割をもつかを一文で書いてから、ようやく本時の展開に入ります。遠回りに見えますが、結局はこのほうが早く書けます。

時数が「決まっているもの」だと思ってしまう

指導書に「8時間扱い」と書いてあると、8時間で終わらせなければいけないと感じます。でも、時数はあくまで目安です。子どもの様子に合わせて、ある単元を1時間増やし、別の単元を1時間減らす、といった調整は、年間の時数の中でふつうに行われています。

大事なのは、年間を通して必要な時数を確保することと、単元のねらいが達成できることです。指導書の時数は、そのための一つの目安だと考えるとよいと思います。

教科ごとの例

国語

国語の単元は、「読むこと」「書くこと」「話すこと・聞くこと」のどの力をつけるかで決まります。教科書では、一つの教材を中心に、読んだあとに書く・話す活動がついている構成が多いので、単元名にも「〜を読んで、〜しよう」のような、活動とねらいが一緒に入った名前がつけられています。

指導案では、「単元名」と「教材名」を分けて書くのが一般的です。単元名がねらいを表し、教材名がその単元で使う中心の材料を表します。

算数

算数の単元は、学ぶ内容のまとまりで決まります。「かけ算」「わり算の筆算」「面積」など、単元名がそのまま学ぶ内容になっていることがほとんどです。

算数は、前の学年の単元とのつながりがはっきりしている教科です。単元の計画を立てるときは、前の学年のどの単元とつながっているかを確かめておくと、子どものつまずきが予想しやすくなります。

社会・理科

社会と理科は、大きな単元の中に小単元がある構成がよく見られます。社会なら調べて考える学習の流れ、理科なら予想・実験・考察の流れが、小単元ごとにくり返されることが多いです。

単元の計画を立てるときは、大きな単元全体の問いと、小単元ごとの問いがつながっているかを確かめます。

音楽・図工・家庭

これらの教科では「題材」を使います。図工なら「何をつくるか」「何を描くか」、音楽なら「何を歌うか、何を聴くか」、家庭なら「何をつくるか、何について考えるか」という中身が、題材の名前になります。

指導案の書き方は、国語や算数とほとんど同じです。「単元の目標」が「題材の目標」になり、「単元の指導計画」が「題材の指導計画」になります。言葉が違うだけで、考え方は同じだと思ってかまいません。

単元を組み立てるときの順番

最後に、単元を組み立てるときの順番を、言葉の定義に沿って整理しておきます。

  1. 単元の目標を決める(この単元で、どんな力をつけるか)
  2. 教材を選ぶ(その力をつけるのに、どの材料を使うか)
  3. 時数を見積もる(年間の計画と、子どもの様子から何時間かけるか)
  4. 単元の計画を立てる(何時間目に何をするか)
  5. 本時を決める(その中で、くわしく書く1時間はどこか)

この順番で考えると、「単元」「教材」「時数」「本時」の言葉が、それぞれどこで出てくるのかが分かります。

単元の計画づくりをはじめて行う場合は、まず教科書の指導書の計画を写すところから始めてもかまいません。写しながら、「この1時間は、単元の目標のどこにつながっているのか」を一つずつ確かめていくと、単元の組み立て方が少しずつ身についていきます。

単元名のつけ方で、単元の中身が変わる

単元の名前は、指導書や教科書に書いてあるものをそのまま使うことが多いと思います。それで問題はありません。ただ、自分で単元を組み立てたときや、教科書の単元を少し組みかえたときは、単元名を自分でつけることになります。

単元名のつけ方には、大きく二つの型があります。

一つは、学ぶ内容をそのまま名前にする型です。「わり算の筆算」「電流のはたらき」「わたしたちのくらしと水」のように、何を学ぶかがひと目で分かります。算数・理科・社会でよく使われます。

もう一つは、子どもがすることを名前にする型です。「お気に入りの本をしょうかいしよう」「地域のよさを伝えるパンフレットをつくろう」のように、単元のゴールになる活動が名前に入っています。国語や総合的な学習の時間でよく使われます。

後者の型は、子どもにとってゴールが見えやすいのがよいところです。単元の1時間目に「この単元では、最後にこれをします」と伝えると、子どもは見通しをもって学び始めることができます。一方で、活動だけが前に出て、何の力をつけるのかが見えにくくなることもあります。私は、子どもに見せる単元名は活動の型にして、指導案には「〜を読んで、〜する力をつける」のように、ねらいも書くようにしています。

子どもにとっての「単元」

先生にとって単元は計画のまとまりですが、子どもにとってはどうでしょうか。

子どもは「単元」という言葉は知らなくても、「今は○○のお話を読んでいる」「今は面積の勉強をしている」というまとまりで学習をとらえています。このまとまりが、子どもの中でもはっきりしているほど、今日の1時間が何のためにあるのかが分かりやすくなります。

そのために役に立つのが、単元の最初に学習の計画を子どもと共有することです。黒板の端や教室の掲示に、単元の流れを簡単に書いておく。今日がそのどこにあたるかを、毎時間の最初に指でさして確かめる。それだけで、子どもは「今日は5時間目の『感想を書く準備』だな」と分かります。

高学年なら、学習の計画を子どもと一緒に立てることもできます。「最後にこれをするために、何を学んでおく必要があるだろう」と問うと、子どもなりに順番を考えてくれます。全部を子どもに任せるのは難しくても、計画の一部を一緒に考えるだけで、単元は「先生の計画」から「自分たちの計画」に変わっていきます。

よくある質問

「単元」と「題材」は、どちらを使えば間違いがないですか?

国語・算数・社会・理科・生活・外国語・体育などでは「単元」、音楽・図画工作・家庭では「題材」を使うのが一般的です。迷ったら、その教科の学習指導要領解説や、教科書の指導書でどちらの言葉が使われているかを確かめると確実です。体育は「単元」が一般的ですが、表現運動などで「題材」という言い方を見かけることもあります。

「本時」は研究授業のときだけ使う言葉ですか?

指導案を書くときに使う言葉なので、研究授業で見かけることが多いです。ただ、ふだんの授業でも、略案で「本時のめあて」「本時の流れ」を書くことがあります。「その日の1時間」という意味で考えれば、いつ使ってもおかしくありません。

「単元」は何時間からが単元ですか?

決まった時間数はありません。2〜3時間の短い単元もあれば、15時間を超える長い単元もあります。ねらいに向かうまとまりになっていれば、時間の長さに関わらず単元と呼べます。

「年間指導計画」と「単元の指導計画」は、何が違いますか?

年間指導計画は、1年間にどの単元を、どの順番で、何時間ずつ学ぶかを並べたものです。単元の指導計画は、その中の一つの単元について、何時間目に何をするかを並べたものです。年間指導計画が「1年間の地図」なら、単元の指導計画は「一つの町の地図」のようなものだと考えると分かりやすいと思います。学校で年間指導計画が決まっていても、単元の中の細かな流れは、学級の子どもに合わせて先生が組み立ててかまいません。

まとめ

単元は、一つのねらいに向かって何時間かをまとめた学習のまとまり。
題材は、取り上げる事柄。そして音楽・図工・家庭では、単元と同じ役割の言葉。
小単元は、大きな単元を分けた一つ一つ。
本時は、指導案でくわしく書くその日の1時間。
時数は、学習に使う時間の数。

この中でいちばん大事なのは、単元がねらいで決まるということです。教科書の区切りではなく、「この力をつけるためのまとまり」として単元を見ると、本時の1時間がどこに向かっているのかも、はっきりしてきます。

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