場面指導・保護者編 「うちの子だけ叱られた」と言われたら 電話・面談の7つの場面

場面指導・保護者編 「うちの子だけ叱られた」と言われたら 電話・面談の7つの場面 先生という仕事

場面指導には、子どもとの場面だけでなく、保護者との場面が出ることもあります。

電話がかかってきて、「うちの子だけ叱られたって言うんですけど、どういうことですか」。面談の場で、「宿題が多すぎて、家で毎晩泣いているんです」。面接官が保護者役になって、少し強い口調で話しかけてくる。

子ども相手の場面より、緊張する人が多いのではないでしょうか。相手は大人で、こちらは若い先生。しかも、最初から怒っている。

ということで今回は、場面指導で出そうな保護者との場面を7つ取り上げて、現場の教員ならどう答えるかを書いてみます。土台は、子ども編と同じ「受け止める・確かめる・次につなぐ」の3つの順番です。

保護者との場面で、まず押さえておきたいこと

保護者は「敵」ではない

保護者との場面で一番大切なのは、保護者は敵ではないということです。

強い口調で話してくる保護者も、根っこにあるのは「自分の子どもが心配だ」という気持ちです。その心配が、怒りや不満の形で出てきているだけ。そう考えると、少し落ち着いて向き合えます。

実際、強い言葉で電話をかけてきた保護者が、話を最後まで聞いてもらえたと感じたとたんに、「実は、家でも最近元気がなくて」と本当の心配を話し始める、ということは現場ではよくあります。怒りの奥にある心配までたどり着けるかどうかは、最初にどれだけ受け止められるかにかかっています。

保護者と教員は、同じ子どもを大切に思っている、いわば同じチームです。場面指導では、その姿勢がにじみ出るかどうかが見られていると思っています。

その場で約束しすぎない

もう一つ大切なのは、その場で約束しすぎないことです。

「宿題を減らします」「席替えをします」「〇〇くんにきつく言っておきます」。保護者の訴えを聞いていると、つい、その場で何かを約束したくなります。でも、学年で決めていること、学校で決めていることもあります。担任一人で決められないことを約束してしまうと、あとで大きな問題になります。

場面指導でも、「学年の先生や管理職と相談して、改めてご連絡します」と、一度持ち帰ることをためらわずに言ってください。それは逃げではなく、組織で動くための大事な一言です。

ほかの子どもの情報は話さない

そしてもう一つ。保護者との場面では、ほかの子どもの名前や家庭の事情は話さないことです。

トラブルの相手の子について聞かれても、「〇〇くんは、家でいろいろあって」などとは絶対に言いません。個人情報を守ることは、保護者からの信頼を守ることでもあります。

場面1 「うちの子だけ叱られたと言っているんですが」

受け止める

電話での場面です。保護者が少し強い口調で話し始めます。

「お電話ありがとうございます。〇〇さんが、そう話していたんですね。ご心配をおかけして、申し訳ありません。」

まずは、電話をくれたことへのお礼と、心配をかけたことへのおわびを伝えます。ここでいきなり「いえ、〇〇さんだけを叱ったわけではありません」と反論しないことです。事実がどうであれ、子どもが「自分だけ叱られた」と感じて家で話したことは、受け止める必要があります。

確かめる

「〇〇さんは、おうちでどんなふうにお話ししていましたか。」

保護者が子どもからどう聞いているのかを、まず確かめます。そのうえで、学校で何があったのかを、こちらから落ち着いて説明します。

「今日の休み時間に、〇〇さんと何人かのお子さんが廊下を走っていたので、声をかけました。〇〇さんには、『危ないから歩こうね』と伝えました。ほかのお子さんにも、同じように声をかけています。ただ、〇〇さんが『自分だけ』と感じてしまったのは、私の伝え方にも足りないところがあったのかもしれません。」

事実は事実として伝えつつ、子どもの受け取り方には、こちらも心を配る。その両方が言えると、保護者も少し落ち着きます。

次につなぐ

「明日、〇〇さんともう一度お話ししてみます。そのあとで、またご連絡させていただいてもいいでしょうか。」

子どもともう一度話すこと、そのあとで連絡することを約束します。電話の内容は、学年主任にも報告しておくことを場面指導の中で一言添えると、なおいいと思います。

場面2 「宿題が多すぎて、毎晩泣いています」

受け止める

面談の場面です。

「そうでしたか。毎晩泣くほどつらい思いをしているとは、気づけずに申し訳ありません。教えていただいて、ありがとうございます。」

確かめる

「どのくらいの時間がかかっているのでしょうか。どの宿題で、特につまずいている様子ですか。」

宿題の量が多いのか、内容がむずかしいのか、家での時間の使い方なのか。ていねいに確かめます。学校での様子も伝えます。「授業中は、算数の文章題で手が止まることが多いように感じています」など、こちらが見ていることを伝えると、保護者も「ちゃんと見てくれている」と感じます。

次につなぐ

「宿題の量は学年でそろえているところもあるので、学年の先生とも相談させてください。それまでの間、〇〇さんには、ここまでできたら大丈夫という目安を私から伝えてみてもいいでしょうか。」

宿題の量そのものは、学年で決めていることが多いので、その場で「減らします」とは言わない。でも、担任としてできる工夫は提案する。そのバランスが大事です。

場面3 「うちの子が、いじめられているんです」

受け止める

いちばん慎重さが求められる場面です。

「お話しくださって、ありがとうございます。〇〇さんがそんなに苦しい思いをしていたことに、気づけていなくて申し訳ありません。」

確かめる

「〇〇さんは、おうちでどんなことを話していましたか。いつごろから、どんな様子でしたか。」

ここで、「うちのクラスにいじめはないと思います」「〇〇さんの思い過ごしでは」と言ってしまうのは、いちばん避けたい対応です。保護者が「いじめられている」と感じているなら、まずはその訴えを受け止めて、事実をていねいに確かめます。

次につなぐ

「学校として、すぐに事実を確かめます。このことは、管理職にも報告し、学校全体で〇〇さんを守るために対応します。分かったことは、必ずご連絡します。」

子ども編の場面と同じく、いじめについては担任一人で抱えず、学校として組織で対応することを、はっきり伝えてください。いつごろまでに連絡するのかを具体的に言えると、保護者の不安は少し和らぎます。

場面4 「〇〇くんと、席を離してください」

受け止める

「〇〇くんとの間で、何か気になることがあったのですね。お話しいただいて、ありがとうございます。」

確かめる

「どんなことがあったのか、〇〇さんから聞いていることを教えていただけますか。」

席を離してほしい、という要望の裏には、何か理由があります。その理由をまず確かめます。単に気が合わないのか、何かトラブルがあったのか、いじめにつながる心配があるのか。

次につなぐ

「席のことは、学級全体のことも考えながら決めているので、すぐにお約束はできないのですが、〇〇さんが安心して過ごせるように、学年の先生とも相談して考えます。学校での二人の様子も、気をつけて見ていきます。」

ここでも、その場で「席を替えます」とは約束しない。でも、要望を軽く扱わない。学校での様子を見ていくことを伝えて、改めて連絡することを約束します。

場面5 「先生の指導は、間違っていると思います」

受け止める

保護者が、教員の指導そのものに不満を持っている場面です。少し身構えてしまいますよね。

「率直にお話しくださって、ありがとうございます。どんなところが気になっていらっしゃるのか、教えていただけますか。」

ここで、自分の指導を守ろうとして、すぐに説明を始めないことです。まず、保護者が何に不満を持っているのかを、最後まで聞きます。

確かめる

「〇〇さんは、そのときどんなふうに感じていたと話していましたか。」

保護者の話を聞いたうえで、自分の指導のねらいを落ち着いて説明します。「〇〇のつもりで、こう声をかけました。ただ、〇〇さんにはそれが伝わっていなかったのかもしれません」。自分の考えは伝えつつ、相手の受け取り方も否定しない。

次につなぐ

「いただいたご意見は、学年の先生や管理職とも共有して、これからの指導に生かします。〇〇さんの様子も、引き続きお伝えしますね。」

自分一人で受け止めて終わりにせず、学年や管理職と共有することを伝えます。保護者の意見を、学校全体で受け止める姿勢を示してください。

場面6 「担任を替えてほしい」

受け止める

最後は、かなり強い要望の場面です。場面指導でも出ることがあるかもしれません。

「そこまで思わせてしまったことを、申し訳なく思います。どんなことがあって、そう思われたのか、教えていただけますか。」

正直、言われたらかなりこたえます。でも、ここでも受け止めから入ります。感情的にならず、相手の話を聞きます。

確かめる

「〇〇さんは、学校のことをおうちでどんなふうに話していますか。」

担任を替えてほしい、という言葉の裏には、子どもが学校でつらい思いをしている、という保護者の心配があるはずです。その心配の中身を確かめます。

次につなぐ

「担任のことは、私一人ではお答えできないので、管理職と相談させてください。そのうえで、改めて、管理職も同席してお話しする機会をいただけないでしょうか。〇〇さんが安心して学校に来られるように、私もできることを考えます。」

このような強い要望は、必ず管理職に報告し、複数の教員で対応することを伝えます。一人で背負わないことが、保護者にとっても、子どもにとっても、自分にとっても大切です。

場面7 「けがをして帰ってきたのに、連絡がなかった」

受け止める

最後は、学校側に落ち度がある場面です。子どもが下校後に、ひざのすり傷を見せて、保護者が電話をかけてきます。

「ご連絡が遅くなってしまい、申し訳ありません。けがをして帰ってきて、驚かれましたよね。」

学校で起きたけがを保護者に伝えていなかったのなら、まずはそのことを素直におわびします。ここで言い訳をしないことが大切です。

確かめる

「今、〇〇さんのけがの様子はいかがでしょうか。痛がっていたり、腫れていたりはしませんか。」

まず、今のけがの様子を確かめます。そのうえで、学校で分かっていることを伝えます。けがに気づいていなかったのなら、「申し訳ありません、学校では気づけていませんでした。明日、〇〇さんや周りの子に、いつどこでけがをしたのか聞いてみます」と、正直に伝えます。

次につなぐ

「明日、確かめたことを改めてご連絡します。このことは、学年主任と管理職にも報告します。これからは、けがのときは小さなものでもご連絡するようにします。」

けがの対応は、学校の安全にかかわることです。管理職への報告と、再発を防ぐことを必ず言葉にしてください。病院に行くほどのけがだった場合などは、学校として対応することも出てきます。担任一人で判断しないことが大切です。

対応したら、記録を残す

場面指導では言葉にしにくいところですが、保護者対応では記録を残すことも大切です。

いつ、誰から、どんな内容の連絡があったのか。こちらはどう答えて、何を約束したのか。メモでいいので残しておきます。そして、学年主任や管理職に報告するときも、その記録をもとに話します。

記録があると、あとで「言った・言わない」にならずにすみます。何より、次に連絡するときに、前回の話をふまえて話せる。保護者からすると、「前に話したことを覚えてくれている」というのは、とても安心することです。

場面指導の最後に面接官から「このあと、どうしますか」と聞かれたら、「記録を残して、学年主任と管理職に報告します」と答えられると、現場をよく知っている人だと伝わると思います。

電話と面談で、少しだけ違うこと

電話では、声と言葉がすべて

電話の場面では、相手の表情が見えません。こちらの表情も、相手には見えません。だから、声のトーンと言葉づかいがすべてです。

場面指導で電話の場面が出たら、少しゆっくり、落ち着いた声で話すことを意識してください。相づちも、「はい」「そうでしたか」と、言葉にして返します。

面談では、座り方や資料も伝わる

面談の場面では、座り方や表情も伝わります。保護者の正面に座るより、少し斜めに座るほうが話しやすい、という話もよく聞きます。子どものノートや作品を見せながら話すと、学校での様子が具体的に伝わります。

場面指導では、実際に資料はありませんが、「〇〇さんのノートをお見せしながら」と言葉で添えるだけでも、学校での様子を大事にしている人だと伝わると思います。

おわりに

保護者との場面は、子どもとの場面より緊張するかもしれません。でも、やることは同じです。受け止める、確かめる、次につなぐ。

そして、どの場面でも土台にあるのは、保護者と一緒に子どもを育てていくという気持ちです。保護者は、学校でのわが子の姿を直接見ることができません。だからこそ不安になるし、ときに強い言葉にもなる。その不安に寄り添えるかどうかが、場面指導でも、教員になってからも、問われているのだと思います。

まぁ、現場の教員だって、保護者からの電話は今でも少し緊張します。それでいいのだと思います。緊張するのは、相手を大事に思っているからです。

子どもとの場面は「場面指導・子ども編」、答え方の型は「場面指導は「3つの順番」で組み立てる」にまとめています。面接全体については「教員採用試験の面接・場面指導、現場の先生ならこう答えたい」もあわせてどうぞ。

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