「発表」「スピーチ」「プレゼンテーション」はどう違う? 人前で話す活動の違いと指導のポイント

「発表」「スピーチ」「プレゼンテーション」はどう違う? 人前で話す活動の違いと指導のポイント 授業づくり

学校では、子どもが人前で話す機会がたくさんあります。朝の会のスピーチ、授業中の発表、調べ学習の発表会、総合的な学習の時間のプレゼンテーション。

どれも「人前で話す」活動ですが、呼び方が違います。そして、呼び方が違うということは、目的や準備の仕方も違うということです。ところが、指導する側がその違いを意識していないと、どの活動も「前に出て、話して、拍手」で終わってしまいがちです。

この記事では、「発表」「スピーチ」「プレゼンテーション」の定義を整理し、それぞれの指導のポイントを考えます。あわせて、「報告」「説明」「提案」という、話す内容による分け方も見ていきます。

それぞれの言葉の定義

「発表」とは

発表は、調べたことや考えたこと、作ったものなどを、ほかの人に知らせることです。

発表は、とても広い言葉です。授業中に手を挙げて自分の考えを言うのも発表、グループで調べたことを全体に伝えるのも発表、作品を見せながら説明するのも発表です。人前で何かを知らせることは、ほとんどすべて発表と呼べます。

学校でよく使われる「発表会」という言葉も、学習の成果を、保護者やほかの学年に知らせる場として使われています。

「スピーチ」とは

スピーチは、一人で、聞き手に向けて、あるテーマについてまとまった話をすることです。

スピーチの特徴は、三つあります。

一つ目は、一人で話すこと。グループで分担して話すのではなく、一人の話し手が、最初から最後まで話します。

二つ目は、まとまった話をすること。思いついたことを言うのではなく、始めと中と終わりがある、ひとまとまりの話をします。

三つ目は、話し手自身の経験や考えが中心になることが多いこと。「わたしの好きなもの」「夏休みの思い出」「将来の夢」など、話し手が自分のことを語るテーマがよく選ばれます。

スピーチでは、資料を使うこともありますが、基本は、言葉と声、表情、身ぶりで伝えます。

「プレゼンテーション」とは

プレゼンテーションは、図や表、写真、スライド、実物などの資料を使って、聞き手に情報や考えを伝え、理解や納得、行動をうながすことです。

プレゼンテーションの特徴は、資料を使うことと、聞き手にはっきりと働きかけることです。

資料を使うことで、言葉だけでは伝わりにくい情報、たとえば数字の変化や、ものの形、場所の位置などを、目で見て分かるように伝えることができます。そして、プレゼンテーションの最後には、「だから、こうしましょう」「ぜひ、〇〇してみてください」と、聞き手に何かを求めることが多いのも特徴です。

もともとは、ビジネスの場で、企画や商品を説明し、相手を説得するために使われてきた言葉です。学校でも、一人一台端末が使われるようになって、スライドを使ったプレゼンテーションの機会が増えています。

話す内容による分け方

「発表」「スピーチ」「プレゼンテーション」は、主に話し方の形による分け方です。これとは別に、話す内容による分け方もあります。

  • 報告:調べたことや見学したこと、経験したことを、ほかの人に知らせる
  • 説明:物事のしくみや方法、理由を、聞き手に分かるように伝える
  • 紹介:人やもの、本、場所などのよさを伝える
  • 提案:問題を解決するための考えを示し、聞き手に賛成や行動を求める
  • 意見:ある事柄についての自分の考えを、理由とともに伝える

たとえば、「調べたことを報告するプレゼンテーション」「好きな本を紹介するスピーチ」のように、形と内容を組み合わせて考えることができます。

並べてみると

言葉 ひと言でいうと 話し手 資料 聞き手への働きかけ
発表 調べたことや考えたことを知らせる 一人・グループ あってもなくても 知らせる
スピーチ 一人で、まとまった話をする 一人 基本はなし 伝える、共感してもらう
プレゼンテーション 資料を使って、理解や納得、行動をうながす 一人・グループ あり(中心) 理解・納得・行動を求める

発表は、ほかの二つを含む大きな言葉です。その中で、一人でまとまった話をするのがスピーチ、資料を使って働きかけるのがプレゼンテーション、と考えると整理しやすいと思います。

学習指導要領ではどう扱われているか

小学校の学習指導要領(平成29年告示)の国語「話すこと・聞くこと」では、話す活動の例として、次のようなものが示されています。

  • 第1学年及び第2学年:「紹介や説明、報告など伝えたいことを話したり、それらを聞いて声に出して確かめたり感想を述べたりする活動」
  • 第3学年及び第4学年:「説明や報告など調べたことを話したり、それらを聞いたりする活動」
  • 第5学年及び第6学年:「意見や提案など自分の考えを話したり、それらを聞いたりする活動」

低学年では、紹介や説明、報告。中学年では、調べたことの説明や報告。高学年では、意見や提案。話す内容が、知らせることから、考えを伝えて働きかけることへと進んでいくのが分かります。

また、話し方の工夫についても、中学年で「話の中心や話す場面を意識して、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫すること」、高学年で「資料を活用するなどして、自分の考えが伝わるように表現を工夫すること」が示されています。高学年で資料を活用することが出てくるのは、プレゼンテーションにつながる力です。

それぞれの指導のポイント

スピーチの指導

スピーチの指導で大事なのは、話の組み立てと、話し方です。

組み立ては、「はじめ・中・おわり」の三つで考えさせます。

  • はじめ:何について話すのかを伝える(「わたしが話したいのは、〇〇のことです」)
  • 中:くわしく話す(出来事、理由、例など)
  • おわり:まとめや、聞き手へのひと言(「みなさんも、〇〇してみてください」)

話し方では、声の大きさ、速さ、間、目線を意識させます。とくに、間は、スピーチをぐっと聞きやすくします。大事なことを言う前に、一呼吸おく。それだけで、聞き手は「何を言うのかな」と注目します。

朝の会のスピーチのように、毎日続けるスピーチなら、テーマを決めておくと、子どもは準備しやすくなります。「好きな食べ物」「最近うれしかったこと」「おすすめの本」など、話しやすいテーマから始めて、慣れてきたら「わたしの考え」のような、少し難しいテーマに進んでいくとよいと思います。

プレゼンテーションの指導

プレゼンテーションの指導で大事なのは、資料と話のバランスです。

スライドを使うプレゼンテーションでよくあるのが、スライドに文章をたくさん書いて、それを読み上げるだけ、という形です。これでは、聞き手はスライドを読めばすむので、話し手の話を聞きません。

スライドには、話の要点や、言葉だけでは伝わりにくいもの(写真、グラフ、図)だけをのせる。くわしいことは、話し手が言葉で伝える。この役割分担を意識させると、プレゼンテーションはぐっと伝わりやすくなります。

目安として、「一枚のスライドに、文字は一行か二行」「写真やグラフを一つ」くらいにすると、聞き手はスライドを一目で見て、話し手の話に集中できます。

また、プレゼンテーションでは、聞き手に何をしてほしいかを最後に伝えることが大事です。「ごみを減らすために、明日から〇〇をしてみてください」のように、聞き手が行動できる形で終わると、プレゼンテーションの目的がはっきりします。

発表(授業中)の指導

授業中に自分の考えを発表するときは、結論から先に話すことを指導します。

「わたしは、〇〇だと思います。理由は、〜だからです」。結論を先に言うと、聞き手は、何についての話なのかが分かったうえで、理由を聞くことができます。理由から話し始めると、聞き手は、結論が出るまで何の話か分からず、集中が続きません。

低学年では、「わたしは〜だと思います。わけは〜です」のような話型を掲示しておくと、子どもは安心して発表できます。

同じテーマで、形を変えてみる

三つの違いを子どもに実感させるには、同じテーマで、形を変えて話してみる活動が効果的です。

たとえば、「学校の近くの公園」というテーマで考えてみます。

スピーチなら、「わたしの好きな場所は、学校の近くの公園です。放課後、友達とよくおにごっこをします。春になると、大きな桜の木が満開になって、花びらがふってくる中を走るのが大好きです。みなさんも、ぜひ春に行ってみてください。」のように、自分の経験と思いを中心に、言葉で伝えます。

報告の発表なら、「わたしたちは、公園を利用している人について調べました。土曜日の午前中に1時間、公園に来た人を数えたところ、全部で42人でした。いちばん多かったのは、小さい子どもを連れた家族で、18人でした。」のように、調べた事実を中心に知らせます。

提案のプレゼンテーションなら、公園の写真と、利用者の数のグラフをスライドで見せながら、「公園には、小さい子どもを連れた家族がたくさん来ています。でも、ベンチは二つしかありません(写真)。そこで、わたしたちは、市役所にベンチを増やしてほしいと手紙を書くことを提案します。賛成の人は、いっしょに手紙を書きましょう。」のように、資料を使って、聞き手に行動を求めます。

同じ公園の話でも、形と目的が変わると、話す中身も、使う言葉も、まったく違ってきます。この比較を子どもに見せると、「今度のわたしの話は、どれにあたるのかな」と、子どもが自分で考えられるようになります。

練習のさせ方

人前で話す活動は、準備した内容がよくても、練習が足りないと、うまく伝わりません。練習のさせ方にも、少し工夫ができます。

一つ目は、声に出して、時間を計って練習することです。頭の中で練習しただけでは、実際に話したときの長さが分かりません。決められた時間に収まるかどうかを、実際に声に出して確かめます。

二つ目は、二人組で聞き合うことです。友達に聞いてもらい、「聞きやすかったところ」と「分かりにくかったところ」を一つずつ言ってもらいます。本番の前に聞き手の反応を知ることで、話し方を直すことができます。

三つ目は、タブレットで録画して見ることです。自分が話している姿を見るのは、少し恥ずかしいものですが、声の大きさや速さ、目線がどうなっているかが、自分でよく分かります。一回見るだけで、次の練習で直すところがはっきりします。

聞き手を育てる

人前で話す活動の指導では、話し手だけでなく、聞き手を育てることも大事です。

スピーチやプレゼンテーションのあとに、「よかったところ」と「質問」を一つずつ言う、という決まりをつくっておくと、聞き手は話をよく聞くようになります。質問を考えるためには、話の内容をよく聞いていなければならないからです。

また、聞き手の感想が、話し手にとって次のスピーチやプレゼンテーションをよくする手がかりになります。「声が大きくて聞きやすかった」「写真があって分かりやすかった」。具体的な感想をもらうと、話し手は自分のよいところに気づくことができます。

よくある質問

人前で話すのが苦手な子には、どうすればいいですか?

いきなり全体の前で話すのではなく、二人組、四人組と、少しずつ聞き手の人数を増やしていくとよいと思います。また、話す内容をメモに書いておき、それを見ながら話してもよいことにすると、安心して話せる子が増えます。慣れることがいちばんなので、短いスピーチをくり返す機会をつくることが大事です。

スライドづくりに時間がかかりすぎます。どうすればいいですか?

スライドの枚数を決めておく(たとえば5枚まで)、使う写真や図を一枚のスライドに一つまでにする、文字の大きさや色を決めておく、といったルールをつくると、時間を短くできます。プレゼンテーションの目的は、スライドをきれいにつくることではなく、聞き手に伝えることです。その目的を最初に確かめておくと、子どももスライドづくりに時間をかけすぎなくなります。

原稿を読み上げるのは、よくないですか?

はじめのうちは、原稿を見ながら話してもかまいません。ただ、原稿を読み上げるだけだと、聞き手の顔を見ることができず、声も単調になりがちです。慣れてきたら、原稿ではなく、話す順番と要点だけを書いたメモを見て話すように進めていくと、聞き手に向かって話す力がついていきます。

発表会の練習に、時間がかかりすぎてしまいます。

本番の形を全部練習するのではなく、練習のポイントをしぼるとよいと思います。一回目は内容(話の順番)、二回目は声(大きさと速さ)、三回目は目線と間、というように、毎回一つずつ確かめると、短い時間でも練習の効果が出ます。また、全員が一度に練習するのではなく、グループの中で聞き合う形にすると、練習の回数を増やすことができます。

まとめ

発表は、調べたことや考えたことを、ほかの人に知らせること。人前で話す活動をまとめた、広い言葉。
スピーチは、一人で、聞き手に向けて、まとまった話をすること。言葉と声で伝えるのが基本。
プレゼンテーションは、資料を使って、聞き手に情報や考えを伝え、理解や納得、行動をうながすこと。

同じ「人前で話す」活動でも、目的と形が違えば、準備の仕方も、話し方も違ってきます。活動の前に、「今日は、スピーチ? プレゼンテーション? 何のために話すの?」と子どもと確かめるだけで、子どもの話は、ぐっと聞き手に届くものになります。話し合いの言葉の違いについては、「『話し合い』『討論』『対話』はどう違う?」にまとめています。

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