「場面」と「段落」はどう違う? 物語と説明文で「区切り方」が変わる理由

「場面」と「段落」はどう違う? 物語と説明文で「区切り方」が変わる理由 授業づくり

国語の授業で、文章を区切る活動はとても多いです。物語では「場面分け」、説明文では「段落分け」。どちらも、長い文章をいくつかのまとまりに分けて読む活動です。

ところが、子どもに「場面と段落は何が違うの?」と聞かれると、意外と説明に困ります。「物語は場面、説明文は段落」と覚えている先生も多いと思いますが、では、物語に段落はないのでしょうか。説明文に場面はないのでしょうか。

この記事では、「場面」と「段落」の定義を整理し、なぜ物語と説明文で区切り方が変わるのかを考えます。あわせて、「形式段落」「意味段落」、詩の「連」といった言葉も見ておきます。

それぞれの言葉の定義

「場面」とは

場面は、物語の中で、時・場所・登場人物がひとまとまりになっている部分のことです。

物語は、いくつもの出来事が、時間の流れにそって起きていきます。その中で、「いつ」「どこで」「だれが」がそろって一つの絵になっている部分。それが場面です。

時が変わる、場所が変わる、登場人物が入れかわる。このどれかが起きると、場面が変わります。「次の日」「その夜」「森の中に入ると」「そこへ、きつねがやってきました」。こうした言葉が、場面の変わり目の目印になります。

教科書の物語では、場面と場面の間が一行あいていたり、番号がふられていたりすることが多いです。これは、読む人が場面の切れ目を見つけやすいようにするための工夫です。

「段落」とは

段落は、文章の中で、内容がひとまとまりになっている部分のことです。

段落には、二つの見方があります。

一つは、形式段落です。行の初めを一字下げて書き始め、次に一字下げるまでのまとまりを、一つの段落と数えます。見た目で区切るので、誰が数えても同じ数になります。説明文の学習で「①②③…」と番号をふるのは、この形式段落です。

もう一つは、意味段落です。内容のつながりから、いくつかの形式段落をまとめて、一つの大きなまとまりとして見たものです。「はじめ」「中」「おわり」に分けたり、「問い」「答え」「まとめ」に分けたりするのは、意味段落の考え方です。

ふつう「段落」と言うときは形式段落を指すことが多く、意味段落は「まとまり」「大きなまとまり」と言いかえることもあります。

「連」とは

詩の場合は、場面でも段落でもなく、「連」という言葉を使います。

連は、詩の中で、一行あけて区切られた、行のまとまりのことです。「第一連」「第二連」と数えます。詩の連は、内容のまとまりであると同時に、読むときのリズムや間をつくるものでもあります。

並べてみると

言葉 ひと言でいうと 何で区切るか 主に使う文章
場面 時・場所・人物がひとまとまりの部分 時・場所・人物の変化 物語
形式段落 一字下げで始まるまとまり 見た目(改行と一字下げ) 説明文・物語・作文など
意味段落 内容でまとめた大きなまとまり 内容のつながり 説明文
連 一行あけで区切られた行のまとまり 一行あき 詩

表にすると、場面は物語の中身(時・場所・人物)で区切るもの、段落は文章の形(または内容)で区切るもの、という違いが分かります。

物語にも段落はある

ここで一つ、よくある誤解を解いておきます。物語にも、段落はあります。

物語の文章も、行の初めを一字下げて書かれています。会話文はかぎかっこで改行されます。ですから、物語にも形式段落はあるわけです。

ただ、物語を読むときに形式段落で区切ることは、あまりしません。物語は、出来事が時間の流れにそって進んでいく文章なので、形式段落よりも、時・場所・人物のまとまりで区切ったほうが、内容がつかみやすいからです。一つの場面の中に、形式段落がいくつも入っているのがふつうです。

反対に、説明文にも、「場面」のような区切りがあることがあります。たとえば、ある動物の一日を、朝・昼・夜の順に説明する文章なら、時間の変化で区切ることもできます。でも、説明文は、筆者が伝えたいことを順序立てて説明する文章なので、時間の流れよりも、内容のつながりで区切るほうが、筆者の考えがつかみやすくなります。

つまり、物語は「場面」、説明文は「段落」と区切るのは、文章の種類によって、内容をつかみやすい区切り方が違うからです。

学習指導要領ではどう扱われているか

小学校の学習指導要領(平成29年告示)の国語では、「場面」と「段落」は、学年ごとに次のように出てきます。

物語を読むことでは、低学年で「場面の様子に着目して、登場人物の行動を具体的に想像すること」、中学年で「登場人物の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像すること」が示されています。低学年では一つ一つの場面の様子を、中学年では場面と場面のつながり(移り変わり)を読むようになっていくわけです。

説明文を読むことでは、中学年で「段落相互の関係に着目しながら、考えとそれを支える理由や事例との関係などについて、叙述を基に捉えること」が示されています。中学年から、段落と段落の関係を考えて読むことが求められるようになります。

書くことでも、中学年で「段落をつくったり、段落相互の関係に注意したりして、文章の構成を考えること」が示されています。段落は、読むときだけでなく、書くときにも大事な単位になります。

授業でのつまずきと手立て

場面分けで、子どもが迷うところ

場面分けで子どもが迷うのは、時・場所・人物の変化が、はっきり書かれていないときです。

たとえば、「その日の夕方」と書かれていれば、時が変わったことはすぐ分かります。でも、「しばらくして」「やがて」のように、時の変化がぼんやりしている場合、子どもは場面が変わったのかどうか迷います。

こうしたときは、「時」「場所」「人物」の三つの欄がある表を使うと、子どもは自分で確かめられます。場面ごとに三つを書き出していくと、「ここで場所が変わっている」「ここで新しい人物が出てきた」と、変わり目が見えてきます。

また、場面分けには、一つの正解がない場合もあります。教科書で番号がふられていない物語なら、子どもによって分け方が違うこともあります。そのときは、「どうしてここで分けたの?」と理由を聞き、時・場所・人物のどれに注目したかを言えれば、分け方が違っていてもかまいません。

段落分けで、子どもが迷うところ

形式段落は見た目で分かるので、数えるのはそれほど難しくありません。迷うのは、意味段落にまとめるときです。

「どの段落とどの段落が同じまとまりなのか」。これは、内容が分かっていないと判断できません。子どもがつまずくのは、たいてい、一つ一つの段落に何が書かれているかがつかめていないときです。

そこで、意味段落にまとめる前に、それぞれの形式段落に、一言で小見出しをつける活動をおすすめします。「問い」「一つ目の答え」「一つ目の答えの例」「二つ目の答え」「まとめ」。小見出しがつくと、同じ内容のものが自然とまとまって見えてきます。

「はじめ・中・おわり」と意味段落

説明文でよく使う「はじめ・中・おわり」も、意味段落の考え方です。

はじめは、話題を示したり、問いを出したりする部分。中は、問いに答えたり、例を挙げて説明したりする部分。おわりは、まとめや筆者の考えを述べる部分です。

形式段落の番号をふったあとに、「はじめはどこまで?」「おわりはどこから?」と問うと、子どもは段落の役割を考えるようになります。ここでも、「どうしてそう思ったの?」と理由を聞くことで、段落と段落のつながりを考える力が育ちます。

教材で考えてみる

教科書の教材を思いうかべると、場面と段落の違いがよりはっきりします。

物語「お手紙」(2年)

「お手紙」は、がまくんとかえるくんの二人を中心にした物語です。場面は、がまくんの家の前でかえるくんががまくんの悲しい気持ちを知るところ、かえるくんが家に帰って手紙を書くところ、かたつむりくんに手紙をたのむところ、またがまくんの家にもどって二人で手紙を待つところ……と、場所と人物の動きで移っていきます。

この物語では、場所の変化が、場面の変わり目を見つけるいちばんの手がかりになります。かえるくんが大いそぎで家へ帰る一文で、場所が変わり、場面が変わる。こうした文を見つけることが、2年生にとっての場面分けの練習になります。物語の読み方については「『お手紙』の教材研究」にも書いています。

説明文(時間の順序で書かれたもの)

低学年の説明文には、植物の成長や、ものができるまでを、時間の順序で説明するものがよくあります。こうした説明文では、「はじめに」「つぎに」「それから」「何日かたつと」のような、時間や順序を表す言葉が段落の初めに出てきます。

この場合、段落は時間の順序とも重なっています。物語の場面に少し似ているように見えますが、目的が違います。物語は出来事を描くために時間が流れるのに対して、説明文は、読む人に分かりやすく伝えるために、時間の順序で説明しているのです。段落の初めの言葉に線を引かせると、子どもは筆者が順序よく説明している工夫に気づきます。

板書で場面と段落を見えるようにする

場面と段落は、板書で見えるようにすると、子どもがつかみやすくなります。

物語なら、黒板を場面の数で区切り、それぞれの場面に「いつ」「どこで」「だれが」を短く書いておきます。挿絵のコピーを場面ごとにはるのも効果的です。黒板を左から右へ見ていくと、物語の流れと場面の移り変わりが一目で分かります。

説明文なら、段落番号を縦に並べ、それぞれに小見出しをつけて、意味段落のまとまりを線や色で囲みます。「はじめ」「中」「おわり」を色分けすると、文章全体の組み立てが見えるようになります。

どちらの場合も、板書は授業の最後に写真に撮って残しておくと、次の時間の振り返りに使えます。単元が進むにつれて、黒板の写真が並んでいくと、子どもにとっても、自分たちが文章をどう読んできたかの記録になります。

書くことにつなげる

場面と段落は、読むときだけでなく、書くときにも使える考え方です。

物語を書く学習では、「場面を三つにしよう」「場面が変わるときは、時か場所か人物を変えよう」と伝えると、子どもは物語の組み立てを考えやすくなります。読むときに場面分けをした経験が、書くときに生きるわけです。

説明する文章を書く学習では、「一つの段落には、一つのことを書こう」「段落の初めは一字下げよう」と伝えます。作文が苦手な子は、思いついたことを全部一つの段落に書いてしまいがちです。段落を分けることを意識するだけで、文章がぐっと読みやすくなります。

そして、「はじめ・中・おわり」の型で書く。説明文で読んだ構成を、自分の文章でも使う。読むことと書くことを、段落という単位でつなげることができます。

子どもに伝える言い方

場面と段落の違いを子どもに伝えるときは、たとえば次のように言うと分かりやすいと思います。

「場面は、お話の中の、いつ・どこで・だれが、が同じところのまとまりです。テレビのドラマで、カメラが切りかわるところを思いうかべてみてください。」

「段落は、文章の中の、同じことについて書いてあるところのまとまりです。一字下がっているところから、次に一字下がっているところまでが、一つの段落です。」

ドラマや漫画のコマのたとえは、場面の感覚をつかむのに役立ちます。段落は、まず見た目(一字下げ)で数えることから始めて、慣れてきたら内容のまとまりへと進むとよいと思います。

よくある質問

物語の授業で、形式段落に番号をふってもいいですか?

ふってもかまいません。場面の中で、どの文について話しているかを確かめるときに、番号があると便利です。ただ、物語の読みの中心は場面のまとまりなので、番号はあくまで場所を示すための目印として使うとよいと思います。

場面の数が、教科書の指導書と子どもの考えで違ったら?

教科書で番号や一行あきがはっきり示されていない場合は、分け方に幅があってかまいません。大事なのは、子どもが時・場所・人物の変化に注目して分けているかどうかです。理由が言えれば、その分け方を認めてよいと思います。そのうえで、学級で話し合って、学習で使う場面の区切りを決めておくと、その後の授業が進めやすくなります。

説明文の意味段落の分け方に、正解はありますか?

指導書には一つの分け方が示されていることが多いですが、内容によっては、いくつかの分け方が考えられる場合もあります。子どもが段落の役割を考えて分けていれば、指導書と違っていても、その理由を話し合うことに価値があります。

「場面」と「段落」は、何年生で教えればいいですか?

場面という言葉は、1・2年生の物語の学習から使われます。段落という言葉は、教科書によって少し違いますが、2年生ごろから説明文や作文の中で出てきて、3・4年生で「段落相互の関係」を考えるようになります。言葉を教える時期よりも、実際に区切る活動をくり返すことのほうが大事です。言葉はあとからついてきます。

まとめ

場面は、物語の中で、時・場所・登場人物がひとまとまりになっている部分。
段落は、文章の中で、内容がひとまとまりになっている部分。形式段落は見た目で、意味段落は内容のつながりで区切る。
連は、詩の中で、一行あけで区切られた行のまとまり。

物語は場面で、説明文は段落で区切るのは、文章の種類によって、内容をつかみやすい区切り方が違うからです。物語にも形式段落はありますし、説明文を時間の流れで区切れることもあります。

区切ることは、文章を読むための入口です。どこで区切るかを考えるとき、子どもは文章の中身を考えています。「どうしてここで区切ったの?」という問いを、場面分けでも段落分けでも、ぜひ大事にしてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました