授業の「導入」7つの型 最初の5分で「なんで?」を生む

授業の「導入」7つの型 最初の5分で「なんで?」を生む 授業づくり

授業の最初の5分。チャイムが鳴って、あいさつをして、「では、教科書の〇ページを開きましょう」。

もちろん、それで悪いわけではありません。でも、子どもたちの顔を見ると、まだ休み時間の続きの顔をしている子もいれば、前の時間の続きの顔をしている子もいる。そこからいきなり「今日のめあては……」と言っても、なかなか頭に入っていきません。

導入は、授業のスイッチです。ここで子どもの中に「なんで?」「どうなってるの?」「やってみたい」が生まれるかどうかで、その後の展開の手ごたえがかなり変わります。

ということで今回は、授業の導入を7つの型にまとめてみました。教科を問わず使えるものを選んで、国語・算数・社会・理科などの例も並べています。

導入は「5分」で「問い」を持たせる時間

型の話の前に、導入について2つだけ確認しておきます。

1つ目は、導入は短くということです。目安は5分、長くても10分。導入が盛り上がるのはいいことですが、15分も20分もかけると、肝心の展開とまとめの時間がなくなります。前の時間の振り返りに10分、音読に10分……とやっていると、気づけば授業の半分が終わっている。ありますよね。

2つ目は、導入のゴールは「問い」だということです。導入でやりたいのは、子どもを楽しませることではなく、その時間に考えることを子どもが「自分の問い」として持つことです。

めあてを先生が一方的に板書すると、それは「先生の問い」のままです。でも、導入で「あれ?」と思った子どもが「なんでだろう?」と言ったところで、「じゃあ、今日はそれを考えてみよう」とめあてにつなげる。そうすると、めあては「子どもの問い」になります。同じめあてでも、子どもの気持ちはまるでちがいます。

7つの型は、どれもこの「問いを持たせる」ための入り方です。

型1 ズレ・矛盾を見せる

導入の型の中で、いちばん強力なのがこれだと思っています。子どもの予想や思いこみと、ちがうものを見せる。「えっ?」「なんで?」という声が、自然に出てくる型です。

  • 理科:「同じ大きさの重いボールと軽いボール、同時に落としたらどっちが先に落ちる?」と予想させてから、実際に落としてみる。
  • 算数:「0.5×0.4、かけ算だから、答えは0.5より大きくなるよね?」と問いかける。計算してみると、小さくなる。
  • 社会:「日本は海に囲まれているから、食べている魚はほとんど日本でとれたものだよね?」と聞いてから、輸入の資料を見せる。
  • 国語:「題名は『〇〇』なのに、〇〇がほとんど出てこない。なぜだろう?」

ズレを生むコツは、先に予想させることです。いきなり結果を見せても、「ふうん」で終わります。予想をノートに書かせたり、手を挙げさせたりして、子どもが一度「こうなるはず」と思ってから結果を見せる。予想が裏切られたとき、はじめて「なんで?」が生まれます。

ちなみに、ズレを見せる導入は、単元の最初の時間と特に相性がいいです。単元全体を通して考える大きな問いを、ここでつくることができます。

型2 一部だけ隠して見せる

全部を見せずに、一部だけを見せる型です。人は、隠されると見たくなります。子どもも同じです。

  • 国語:説明文の題名だけを見せて、「どんなことが書いてあると思う?」と聞く。物語の挿絵を一枚だけ見せて、「どんな場面だろう?」と聞く。
  • 社会:写真の一部分だけを見せて、「これは何の写真だと思う?」と聞き、少しずつ見せる範囲を広げていく。
  • 算数:問題文の数字の一部を□にして見せる。「□に何が入ったら、この問題は解けるかな?」
  • 理科:袋に入った実物をさわらせて、「中に何が入っていると思う?」

隠す導入のコツは、隠す場所を選ぶことです。何でも隠せばいいわけではなく、その時間のねらいにつながる部分を隠します。たとえば社会の写真なら、その時間に考えさせたいもの(工場の煙突、田んぼの水路など)が最後に見えるようにする。最後に見えたものが、そのまま授業の問いになるように組むと、導入から展開に自然につながります。

デジタル教科書や大型テレビを使える教室なら、画像の一部を隠すのは案外かんたんです。図形を重ねておいて、少しずつずらすだけ。手間のわりに、子どもの食いつきはかなりいいです。

型3 実物から入る

教室に、実物を持ちこむ型です。写真や映像ではなく、本物を見せる、さわらせる、においをかがせる。それだけで、子どもの目の色が変わります。

  • 社会:昔の道具(せんたく板、炭火アイロンなど)を持ちこんで、「これ、何に使うものだと思う?」
  • 理科:校庭で拾ってきた落ち葉や石を見せて、「どこで見つけたと思う?」
  • 家庭:同じ野菜の、切り方がちがうものを並べて見せる。
  • 国語:物語に出てくる食べ物や道具の実物を見せる。説明文で取り上げられている物を持ってくる。
  • 算数:1Lのますや、1mのものさしを実際に見せて、「この教室に、1mのものはいくつある?」

実物の強さは、子どもが自分の五感で確かめられることです。写真で見る昔の道具と、実際に持ってみた昔の道具では、重さの感覚がまるでちがいます。「こんなに重いのを毎日使っていたの?」という驚きが、そのまま問いになります。

注意したいのは、実物は子どもの興味を強く引くぶん、しまうタイミングが大事だということです。いつまでも机の上に出しておくと、展開に入っても子どもの目は実物に向いたままになります。導入で使い終わったら、いったん片づける。展開でもう一度使いたいときは、そのときに出します。

型4 予想・クイズで立場をつくる

「どっちだと思う?」と、子どもに立場を選ばせてから授業に入る型です。展開の記事でも「選ぶ」発問を紹介しましたが、導入で使うと、授業の最初から子どもが自分の考えを持った状態になります。

  • 社会:「日本で一番多く輸入している食べ物は、次の3つのうちどれ?」
  • 理科:「植物は、日光に当てたほうがよく育つ? それとも関係ない?」
  • 算数:「この2つの図形、面積が広いのはどっち?」
  • 国語:「この物語、最後はハッピーエンドだと思う?」
  • 体育:「なわとびを速く跳ぶには、腕を大きく回す? 小さく回す?」

クイズの導入は楽しく、盛り上がります。ただ、盛り上がりすぎると、子どもは「当たった」「はずれた」で終わってしまいがちです。そうならないために、予想と一緒に理由を書かせること、そして、答えを導入ですぐに言わないことの2つを意識したいところです。

答えを言わずに、「じゃあ、どれが正しいか、今日の授業で確かめてみよう」とめあてにつなげる。そうすると、クイズが「楽しい遊び」から「授業の問い」に変わります。

型5 先生のつぶやき・わざとの間違い

先生がわざと間違えたり、困ったふりをしたりする型です。子どもは、先生の間違いを見つけるのが大好きです。

  • 算数:板書でわざと間違えた筆算をして、「先生、これで合ってるよね?」と聞く。
  • 国語:「先生、この漢字の書き順、こうだと思っていたんだけど……」と、わざと違う書き順で書いてみせる。
  • 国語:「この文章、先生が書いてみたんだけど、なんだか分かりにくいんだよね。どこがおかしいと思う?」
  • 社会:「先生、この地図を見て、この町は海に近いと思ったんだけど、どう思う?」(実は川だった、など)

この型の良さは、子どもが先生に教える立場になることです。「ちがうよ、先生!」と言うとき、子どもは自分の知識を総動員して説明しようとします。その説明が、そのまま授業の入口になります。

ただし、この型には注意点が2つあります。1つは、使いすぎないこと。毎回わざと間違えていると、子どもは「どうせまた、わざとでしょ」と構えるようになります。ここぞという時間に使うくらいがちょうどいい。

もう1つは、間違いが子どもの間違いと重なるようにすることです。先生の間違いは、ただのおもしろいミスではなく、子どもが実際にやりがちな間違いにすると効果があります。「先生と同じ間違い、やったことある人?」と聞けば、多くの子が自分ごととして考え始めます。

型6 前の時間の子どもの疑問から入る

前の時間の振り返りに書かれた、子どもの疑問や気づきを読み上げて、そこから授業に入る型です。

  • 「前の時間、〇〇さんが振り返りにこんなことを書いていました。『ごんは、どうしてくりを持っていったことを兵十に言わなかったんだろう』。みんなはどう思う?」
  • 「昨日の算数で、『2けたのかけ算でも同じやり方でできるのかな』と書いていた人がいました。今日は、それを確かめてみよう」
  • 「実験の振り返りに、『温度をもっと高くしたらどうなるんだろう』という疑問がありました」

この型の良さは、授業が子どもの疑問から始まることです。先生が用意した問いではなく、クラスの友だちが書いた疑問。それだけで、子どもの受けとめ方がちがいます。それに、自分の書いた振り返りが読まれると、子どもは「振り返りを書くと、授業で使われるんだ」と分かります。次からの振り返りが、少しずつ変わっていきます。

この型を使うには、前の時間の振り返りを読んでおく必要があります。全員分をていねいに読むのは大変なので、私なら、授業の後に振り返りをざっと見て、次の時間の入口になりそうな一文に付箋を貼っておく、くらいにします。それだけでも、十分に使えます。

なお、名前を出して読み上げるときは、本人が嫌がらないかに気をつけたいところです。「〇〇さんが」と言わずに「ある人が」と言うだけでもいいですし、事前に本人に「読んでもいい?」と聞いておくのも一つの方法です。

型7 くり返しの帯活動から入る

毎時間、同じ活動から始める型です。漢字の小テスト、計算練習、音読、フラッシュカード、英語のあいさつなど。いわゆる「帯活動」です。

  • 国語:毎時間、最初の3分は音読(詩や、その単元の物語の一場面)。
  • 算数:最初の3分で、百ます計算やかけ算九九のフラッシュカード。
  • 外国語:あいさつと、天気・曜日のやりとり。
  • 体育:準備運動の後、毎時間同じ「感覚づくりの運動」を2〜3分。

帯活動は、授業の最初の「切りかえ」に効きます。毎回同じことから始まると、子どもは「この活動が始まったら授業だ」と体で覚えます。チャイムが鳴ってもざわざわしているクラスでも、帯活動を習慣にすると、授業の始まりがすっと落ち着くことがあります。

注意したいのは、帯活動がただの習慣で終わらないようにすることです。毎時間の計算練習が、その日の授業内容とまったく関係ないと、ただの「時間つぶし」になってしまいます。できれば、帯活動の最後の1問を、その日の授業につながるものにする。たとえば、かけ算の筆算の授業の日なら、帯活動の最後に「23×4」を出しておいて、「じゃあ、23×14だったら?」とつなげる。こうすると、帯活動から授業の問いに自然に入れます。

導入から「めあて」へのつなぎ方

7つの型のどれを使っても、導入の最後は「めあて」につなげることになります。ここがうまくいかないと、せっかくの導入がもったいない。つなぎ方のコツを、少しだけ書いておきます。

まず、子どもの言葉を拾うこと。導入で子どもが「なんで?」「えっ、小さくなった」「重っ!」と言ったら、その言葉を黒板の端に書いておきます。そして、「〇〇さんが『なんで小さくなるの?』って言ったね。今日はそれを考えよう」と、めあてにつなげる。めあての文の中に、子どもの言葉が入っていると、子どもは「自分たちの問いだ」と感じやすくなります。

次に、めあての形をそろえておくこと。めあてには、「〜を考えよう」「〜を調べよう」「〜を説明しよう」など、いくつかの形があります。導入で生まれたのが「なんで?」なら「〜のはなぜだろう」、「どっち?」なら「〜はどちらだろう」というふうに、導入の問いの形をそのままめあてに使うと、つながりが分かりやすくなります。

最後に、めあてを書いたら、ひと呼吸おくこと。めあてを板書して、子どもにノートに写させる。その数十秒の間に、教室が少し静かになります。この静かな時間が、導入から展開への切りかえになります。写させる時間がもったいなく感じるかもしれませんが、ここを急ぐと、子どもは何を考えればいいのか分からないまま展開に入ってしまいます。

型の選び方 単元の最初・中ごろ・終わりで使い分ける

7つの型を紹介してきました。どれを使うか迷ったときは、単元のどの時期の授業かで考えると選びやすくなります。

単元の最初の時間には、ズレ・矛盾を見せる(型1)、実物から入る(型3)、予想・クイズ(型4)が向いています。子どもがまだその単元のことをよく知らないので、「なんで?」「知りたい」という気持ちを強く引き出す型がいい。単元全体を通して考える大きな問いを、ここでつくります。

単元の中ごろの時間には、前の時間の疑問から入る(型6)、一部だけ隠して見せる(型2)が使いやすいです。前の時間からの続きなので、子どもの疑問をつなげて授業を進めていけます。

単元の終わりの時間には、先生のわざとの間違い(型5)が効きます。単元で学んだことを使って、先生の間違いを説明する。子どもが「分かった」ことを確かめる場になります。

そして、くり返しの帯活動(型7)は、ほかのどの型とも組み合わせられます。帯活動で3分、その後に別の型の導入を2〜3分。合わせて5〜6分で展開に入る、という形です。

導入でやりがちなこと

最後に、導入でやりがちなことを3つ挙げておきます。

盛り上げすぎて戻れない。クイズや実物で導入が盛り上がるのはいいことです。でも、盛り上がりすぎて、展開に入っても子どもが落ち着かないことがあります。盛り上げた後は、「では、今日はこのことを考えてみよう」と、めあてを板書してひと呼吸おく。導入と展開の間に、はっきりした区切りをつくると切りかえやすくなります。

前の時間の復習が長い。「前の時間はどんなことをしたかな?」と聞いて、何人かに発表させて、板書して……とやっていると、それだけで10分たってしまいます。前の時間の振り返りは、型6のように「一つの疑問」に絞るか、先生が1分で話すくらいでいいと思っています。

導入とめあてがつながっていない。楽しい導入をした後に、まったく別の言葉でめあてを出してしまう。たとえば、昔の道具を見せて盛り上がった後に、「今日のめあては『昔のくらしについて調べよう』です」。導入で子どもが「こんなに重いの?」と言ったなら、めあては「昔の人は、なぜこんなに重い道具を使っていたのだろう」にしたい。導入で生まれた子どもの言葉を、そのままめあてに使うのがいちばんです。

おわりに

授業の導入を、7つの型にまとめてみました。

ズレ・矛盾を見せる。一部だけ隠して見せる。実物から入る。予想・クイズで立場をつくる。先生のつぶやき・わざとの間違い。前の時間の子どもの疑問から入る。くり返しの帯活動から入る。

どの型にも共通しているのは、子どもの中に「問い」を生むということです。導入で子どもが「なんで?」と思えば、その後の展開は、先生が引っぱらなくても、子どもが自分で考え始めます。

毎時間、凝った導入を考えるのは、無理ではなく無茶です。でも、単元の最初の1時間だけでも、7つの型のどれかを意識してみてはいかがでしょうか。それだけで、単元全体の流れが変わることもあります。

展開とまとめについては、別の記事にまとめています。

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