「指導」「支援」「援助」はどう違う? 指導案や所見で使い分ける言葉の重さ

「指導」「支援」「援助」はどう違う? 指導案や所見で使い分ける言葉の重さ 学級づくり

学習指導案の右の欄に「指導上の留意点」と書くか、「教師の支援」と書くか。学校によって書式が違って、異動するたびに迷った経験はないでしょうか。

「指導」と「支援」は、学校の中で毎日のように使われる言葉です。そこに「援助」「手立て」「配慮」といった言葉も加わって、指導案や個別の指導計画、所見の中で入り混じっています。

この記事では、「指導」「支援」「援助」を中心に、学校で使われる「先生の関わり」を表す言葉の定義を整理します。言葉の違いは、子どもとの関わり方の違いでもあります。

それぞれの言葉の定義

「指導」とは

指導は、目的や目標に向かって、相手を教え導くことです。

指導の中心にあるのは、先生が方向を示すことです。何を学ぶのか、どこに向かうのか、どうすればいいのか。それを先生が示して、子どもを導きます。

学校には、「学習指導」「生徒指導」「進路指導」のように、「指導」がつく言葉がたくさんあります。学習指導要領も「指導」の要領です。学校教育は、もともと指導の営みだと言ってもいいかもしれません。

指導というと、先生が一方的に教えこむイメージをもつ人もいますが、本来の意味はもっと広いものです。子どもが自分で考えられるように問いを出すことも、やり方を示して練習させることも、子どもの考えを価値づけることも、すべて指導に含まれます。

「支援」とは

支援は、相手が自分の力で取り組めるように、そばで支えることです。

支援の中心にあるのは、子どもです。子どもが自分で考え、自分で取り組む。その活動がうまくいくように、先生が支える。主役は子どもで、先生は脇から支える役割です。

「指導から支援へ」という言葉が学校で広く使われるようになったのは、平成の初めごろ、いわゆる「新しい学力観」が言われるようになった時期です。子どもの関心・意欲・態度を大事にし、子どもが自ら学ぶ力を育てようという流れの中で、先生の役割を「教える人」から「支える人」へととらえ直す言葉として、「支援」が使われるようになりました。

その後、「教えるべきことはしっかり教える」ことの大切さも改めて言われるようになり、今では、指導と支援のどちらか一方ではなく、両方を場面に応じて使い分けることが大事だとされています。

「援助」とは

援助は、困っている相手に、力を貸すことです。

支援と似ていますが、援助のほうが「困っているところに手を差しのべる」意味が強い言葉です。支援が子どもの活動全体を支えるのに対して、援助は、子どもがつまずいたり困ったりしたときに、そこに手を貸すイメージです。

幼稚園教育要領では、先生の関わりを表す言葉として「援助」が多く使われています。幼児が自分から環境に関わって遊ぶ中で、先生が必要に応じて援助する、という考え方です。また、生徒指導の基本書である「生徒指導提要」(令和4年改訂)でも、生徒指導は児童生徒が自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動だとしたうえで、「必要に応じて指導や援助を行う」と書かれています。

「手立て」とは

指導案でよく使われる「手立て」も整理しておきます。

手立ては、目標を達成するための、具体的な方法や工夫です。

「ワークシートに、気持ちを表す言葉の例を書いておく」「考えがもてない子には、ヒントカードを用意する」「グループの人数を3人にする」。こうした具体的な工夫が手立てです。指導も支援も、実際には手立てという形で授業の中に表れます。

「配慮」とは

配慮は、相手のことを考えて、あれこれと心を配ることです。

「視力の弱い子のために、席を前にする」「大きな音が苦手な子のために、事前に予定を伝えておく」。こうした心配りが配慮です。障害のある子どもに対しては、障害者差別解消法にもとづく「合理的配慮」という言葉もあります。合理的配慮は、障害のある人が、ほかの人と同じように学んだり生活したりできるように、必要で適切な変更や調整を行うことです。

並べてみると

言葉 ひと言でいうと 主役 先生の立ち位置 例
指導 目標に向かって教え導く 先生が方向を示す 前に立つ やり方を示す、問いを出す
支援 自分の力で取り組めるよう支える 子ども 横に立つ 考える時間をとる、資料を用意する
援助 困っているところに力を貸す 子ども 困ったときに手を出す つまずいた子にヒントを出す
手立て 目標を達成するための具体的な工夫 ― ― ヒントカード、ワークシート
配慮 相手のことを考えて心を配る ― ― 席の位置、事前の予告

先生の立ち位置で考えると分かりやすくなります。指導は前に立って方向を示す。支援は横に立って一緒に進む。援助は、困ったときにさっと手を出す。

指導案での書き分け

「指導上の留意点」と「教師の支援」

学習指導案の「本時の展開」の右の欄の名前は、学校や地域によって違います。「指導上の留意点」「教師の支援」「指導・支援」「評価と支援」など、いろいろな書き方があります。

どの名前を使うかは学校の書式に合わせればよいのですが、中身を書くときには、指導と支援を意識して書き分けると、授業の意図が伝わりやすくなります。

たとえば、こんな書き方です。

  • 指導:「ごんの行動が書かれている文に線を引くよう指示し、気持ちを想像する手がかりにさせる」
  • 支援:「気持ちを表す言葉が思いうかばない子には、言葉の一覧を見てよいことを伝える」
  • 援助:「線を引く場所に迷っている子には、『ごんがしたことはどこに書いてあるかな』と声をかける」

指導は、全員に向けて先生が示すこと。支援と援助は、子どもの様子に応じて先生が行うこと。こう分けておくと、指導案を読む人が、授業の骨組みと、子どもへの対応の両方を読み取ることができます。

「〜させる」と「〜できるようにする」

指導案の文末にも、言葉の違いが表れます。

「〜させる」は、先生が子どもに何かをさせる、という指導の書き方です。「〜できるようにする」「〜を促す」は、子どもが自分でできるように支える、という支援の書き方です。

どちらが正しいということはありません。全員に必ずやってほしいこと、たとえば「本文に線を引かせる」は「させる」でよいと思います。子ども一人一人のペースを大事にしたいこと、たとえば「自分の考えをもてるようにする」は、支援の書き方が合います。

所見や個別の指導計画での書き分け

通知表の所見

通知表の所見では、「指導」と「支援」の言葉を使うことはあまりありませんが、先生の関わりを書くときに違いが出ます。

たとえば、「計算の仕方を何度も確かめるよう指導したところ、正確に解けるようになりました」と書くと、先生が方向を示し、子どもがそれに応えた、という書き方になります。「自分で計算の仕方を確かめる姿が見られるようになりました」と書くと、子どもが自分の力で取り組んでいる、という書き方になります。

所見は、子どもや保護者が読むものなので、主語を子どもにして、子どもの姿を中心に書くほうが伝わりやすいと思います。先生の関わりは、必要なときに短く添える程度で十分です。

個別の指導計画

特別な支援が必要な子どもの「個別の指導計画」では、「指導」と「支援」と「配慮」の書き分けが特に大事になります。

目標に向けて何を教えるのかは「指導の内容」、子どもが取り組みやすくするために何をするのかは「支援」や「手立て」、学習や生活の環境で気をつけることは「配慮」。こう分けて書くと、学年の先生や専科の先生、次の担任にも引き継ぎやすくなります。

場面ごとに見る、指導・支援・援助

一つの場面の中で、三つがどう出てくるかを例で見てみます。

算数(くり上がりのあるたし算)

  • 指導:「十のまとまりをつくる」考え方を、ブロックを使って全員に示す。「8+5は、8にあと2で10。5を2と3に分けます」と、やり方を言葉と操作で確かめる
  • 支援:自分で解く時間に、ブロックを使ってもよいこと、さくらんぼの図をかいてもよいことを伝える。早く終わった子には、自分で問題をつくる活動を用意しておく
  • 援助:手が止まっている子のそばに行き、「8にあといくつで10になるかな」と、つまずいているところだけを一緒に確かめる

体育(跳び箱の開脚跳び)

  • 指導:手をつく位置、踏み切りの足、目線などのポイントを、全員に示範しながら伝える
  • 支援:跳び箱の高さを選べる場、踏み切り板の位置を変えられる場、ロイター板の代わりにマットを重ねた場など、自分に合った練習の場を選べるようにする
  • 援助:怖がって手前で止まってしまう子の横について、腰を軽く支えながら一緒に跳ぶ

学級会(話し合い)

  • 指導:話し合いの進め方(提案理由の確認、意見を出す、比べる、決める)を、事前に司会の子どもと確かめておく
  • 支援:話し合いの途中、論点がずれてきたときに、司会の子に「今は何について話しているのかな」と小声で伝える
  • 援助:意見が言えずに困っている子に、「付箋に書いて出してもいいよ」と別の方法を示す

こうして見ると、指導は授業の骨組みをつくり、支援は子どもが自分で進む道を広げ、援助は道でつまずいた子を起こす、という関係になっているのが分かります。

子どもから見た指導と支援

先生の側から見ると、指導と支援ははっきり分かれています。でも、子どもから見ると、どちらも「先生が関わってくれた」ことには変わりありません。

子どもにとって大事なのは、言葉の区別よりも、「先生は自分のことを見てくれている」「困ったときには助けてくれる」「でも、自分でできることは任せてくれる」と感じられることだと思います。

そのために、先生ができることがあります。全員に向けた指導のあとに、「困ったら、先生を呼んでね」「自分でやってみたい人は、やってみよう」と、子どもが選べる言葉を添えることです。この一言があるだけで、子どもは「先生にやらされている」のではなく、「自分で選んで取り組んでいる」と感じられるようになります。

混ざると何が起きるか

支援ばかりで、指導がない

「子どもの主体性を大事に」と思うあまり、支援ばかりになってしまうことがあります。子どもが考えるのを待つ、困ったらヒントを出す、でも、何を学ぶのかははっきり示さない。

こうなると、子どもは一生懸命取り組んでいるのに、何を学んだのかが分からないまま授業が終わります。支援は、指導で示した方向に向かって子どもが進むのを支えるものです。方向が示されていなければ、支えようがありません。

指導ばかりで、支援がない

反対に、指導ばかりの授業もあります。先生が全部のやり方を示し、全員に同じことをさせる。授業はスムーズに進みますが、ついてこられない子がそのまま置いていかれることがあります。

全員に向けた指導のあとに、一人一人の様子を見て支援や援助をする時間をとる。この二段構えが、多くの子どもを学びに乗せるためには必要です。

援助が早すぎる

援助のタイミングも大事です。子どもが少し困っただけで、すぐにヒントを出してしまうと、子どもは自分で考える前に先生を待つようになります。

私は、援助をする前に、少しだけ待つようにしています。子どもが困っているように見えても、実は考えている最中かもしれないからです。しばらく見て、手が止まったままなら声をかける。声をかけるときも、答えを言うのではなく、「どこまで分かった?」と聞くところから始めると、子どもが自分で進むきっかけをつくれます。

よくある質問

「指導」より「支援」のほうが、よい言葉ですか?

どちらがよい、ということはありません。教えるべきことをはっきり教えるのは指導で、子どもが自分の力で取り組むのを支えるのは支援です。授業の中では、場面に応じて両方を使います。言葉のよしあしではなく、その場面で子どもに何が必要かで選ぶものだと思います。

特別支援教育の「支援」は、ここでの「支援」と同じ意味ですか?

特別支援教育は、障害のある子どもの自立や社会参加に向けて、一人一人の教育的ニーズを把握し、必要な指導や支援を行う教育です。ここでの「支援」も、子どもが自分の力を発揮できるように支える、という意味では同じです。ただ、特別支援教育という言葉の中には、指導も支援も両方含まれています。

「援助」は、小学校の指導案ではあまり使わないのですか?

使う学校もありますが、「支援」のほうが一般的です。幼稚園や保育所では「援助」がよく使われるので、幼小の連携の場面では、言葉の違いを知っておくと話がかみ合いやすくなります。

同僚や保護者と話すとき、どの言葉を使えばいいですか?

保護者と話すときは、「指導」という言葉がかたく聞こえることがあります。「学校では、こんなふうに声をかけています」「こんな工夫をしています」と、具体的な関わり方で伝えるほうが、保護者には伝わりやすいと思います。同僚と話すときは、「全体への指導は同じにして、支援を分けよう」のように、言葉を使い分けると、役割分担の話がしやすくなります。叱る場面での言葉の選び方は、「『叱る』『怒る』『注意する』はどう違う?」にまとめています。

まとめ

指導は、目標に向かって、先生が方向を示し、教え導くこと。
支援は、子どもが自分の力で取り組めるように、そばで支えること。
援助は、困っている子どもに、力を貸すこと。
手立ては、目標を達成するための具体的な工夫。配慮は、相手のことを考えて心を配ること。

先生の立ち位置で言えば、指導は前、支援は横、援助は困ったときにさっと手を出す。どれも先生の大事な関わり方です。

指導案を書くとき、所見を書くとき、子どもに声をかけるとき。「今、自分は前に立っているのか、横に立っているのか」を意識してみてください。言葉を選ぶことは、子どもとの距離を選ぶことでもあります。

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