授業の「まとめ」と「振り返り」は別もの 終わりの10分の7つの型

授業の「まとめ」と「振り返り」は別もの 終わりの10分の7つの型 授業づくり

展開の話し合いが盛り上がった。いい意見がたくさん出た。気づけば、残り3分。

「では、今日のまとめを書きましょう」と急いで板書して、子どもが写し終わる前にチャイム。振り返りカードは「宿題にします」。……ありますよね。

授業の終わりの10分は、いちばん削られやすい時間です。展開がのびれば、真っ先にここが短くなる。でも、この10分があるかないかで、その授業で子どもに何が残るかが大きく変わります。

そして、もう一つ。授業の終わりには「まとめ」と「振り返り」という2つの言葉がよく出てきますが、この2つ、なんとなく同じものとして扱われていることが多いように思います。先に言ってしまうと、この2つは別ものです。

ということで今回は、授業の終わりの10分を、まとめと振り返りに分けて、7つの型にまとめてみました。

「まとめ」は今日わかったこと、「振り返り」は学び方と次への問い

まず、2つの言葉を整理しておきます。

まとめは、その時間の学習内容についての「わかったこと」です。めあてに対する答え、と言ってもいいと思います。たとえば、めあてが「0.5×0.4の答えが0.5より小さくなるのはなぜだろう」なら、まとめは「1より小さい数をかけると、答えはかけられる数より小さくなる。0.4は1より小さいから」のようになります。クラス全員が、ある程度同じ内容にたどりつくものです。

振り返りは、その時間の自分の学び方についての気づきです。どう考えたか、何がきっかけで分かったか、だれの意見が参考になったか、まだ分からないことは何か、次に何をしたいか。こちらは、一人ひとりちがっていてかまいません。むしろ、ちがっているのが当たり前です。

こうして分けてみると、2つがごちゃまぜになっているとどうなるかが見えてきます。まとめを書かせたいのに、子どもが「楽しかったです」と書く。これは、子どもが振り返りを書いているからです。逆に、振り返りを書かせたいのに、子どもが板書のまとめを写している。これは、子どもがまとめを書いているからです。

先生が「今日は何を書かせたいのか」をはっきりさせておくだけで、子どもの書くものはずいぶん変わります。

では、ここから7つの型です。型1〜4はまとめ、型5〜7は振り返りに近い型です。

型1 先生がまとめる

まず、先生がまとめを示す型です。「まとめは子どもに考えさせるべき」と言われることも多いですが、私は、先生がまとめることが悪いとは思っていません。

先生がまとめる型が向いているのは、たとえばこんな場面です。

  • 新しい用語や定義を教える時間:算数の「直角」「平行」、国語の「主語・述語」など、言葉の意味を正確に押さえたいとき。
  • 知識を整理する時間:社会の「〇〇県の主な産業」など、たくさん出てきた情報を整理したいとき。
  • 時間がどうしても足りないとき:展開がのびて、子どもにまとめを考えさせる時間がとれないとき。

大事なのは、先生がまとめるときも、展開で出た子どもの言葉を使うことです。「〇〇さんが言っていた『かけると小さくなる』と、〇〇さんが言っていた『1より小さいから』をつなげると、こうなるね」と言いながら板書する。そうすると、先生が書いたまとめでも、子どもにとっては「自分たちが見つけたこと」になります。

型2 子どもの言葉でまとめる

子ども自身に、まとめを考えさせる型です。「今日わかったことを、自分の言葉で書いてみよう」と言って、ノートに書かせる。何人かに発表してもらい、それをもとにクラスのまとめをつくります。

  • 国語:「ごんがうなずいたときの気持ち、今日の話し合いで分かったことを書いてみよう」
  • 算数:「小数のかけ算で、答えが小さくなるのはどんなときか、自分の言葉で書いてみよう」
  • 理科:「今日の実験から分かったことを、一文で書いてみよう」
  • 社会:「この町の人たちが大事にしていることを、自分の言葉でまとめてみよう」

この型のいいところは、子どもが本当に分かったかどうかが見えることです。板書を写すだけなら、分かっていなくても書けます。でも、自分の言葉で書くには、分かっていないと書けません。書けない子がいたら、その子にとっては、まだ「分かった」になっていないということです。

コツは、書く前に、黒板の大事な言葉に線を引いておくことです。展開の板書の中で、まとめに使ってほしい言葉に色チョークで線を引いておく。そうすると、何を書けばいいか分からない子も、黒板を見ながら書き始められます。

型3 キーワードを指定して書く

型2の発展形です。「〇〇という言葉を使って、まとめを書こう」と、使う言葉を指定します。

  • 国語:「『つぐない』と『気づいてほしい』という言葉を使って、ごんの気持ちをまとめよう」
  • 算数:「『1より小さい』『かけられる数』という言葉を使って、まとめを書こう」
  • 理科:「『体積』『温度』という言葉を使って、実験の結果をまとめよう」
  • 社会:「『協力』『工夫』という言葉を使って、まとめを書こう」

キーワードを指定すると、まとめの質がそろいやすくなります。何でも自由に書いていいと言われると、子どもによって書くことがばらばらになり、大事なことが抜けてしまうこともあります。キーワードがあれば、そのキーワードを中心に考えるので、外してほしくないことが自然に入ります。

指定するキーワードは、2〜3個がちょうどいいと思っています。1個だと簡単すぎ、4個以上だとパズルのようになって、まとめを書くことより言葉を入れることが目的になってしまいます。

また、キーワードは、展開の中で子どもが使った言葉から選ぶといいです。先生が新しく持ちこんだ言葉だと、子どもは意味を考えるところから始めなければなりません。

型4 適用問題で確かめる

まとめを書いた後に、そのまとめを使って解ける問題を出す型です。算数の定番ですが、ほかの教科でも使えます。

  • 算数:まとめの後に、「では、0.3×0.6の答えは0.3より大きい? 小さい?」と1〜2問出す。
  • 国語:「今日学んだ『説明文の書き出しの工夫』、こっちの文章ではどんな工夫がされているかな?」と短い文章を見せる。
  • 理科:「今日の実験から考えると、夏に線路のつなぎ目にすき間があるのはなぜだろう?」
  • 社会:「今日の町の工夫、ほかの町だったらどうするかな?」

適用問題のいいところは、まとめが「分かったつもり」になっていないか確かめられることです。まとめを書けた子が、適用問題を解けないこともあります。そういう子は、まとめの言葉を覚えただけで、まだ使えるようにはなっていない。適用問題で確かめることで、先生にも子どもにも、それが分かります。

適用問題は、1〜2問で十分です。たくさん出すと、それだけで時間がなくなります。それに、適用問題がたくさん解けることより、1問でも「今日のまとめを使って解けた」と感じられることのほうが大事だと思っています。

型5 はじめの考えと比べる

ここからは、振り返りに近い型です。

導入で書いた「はじめの考え」と、授業の終わりの「今の考え」を比べさせる型です。

  • 「授業のはじめに、ごんはいいきつねだと思う?と聞いたら、〇〇と書いていたね。今はどう思う?」
  • 「導入で予想した答え、当たっていた? はずれていたなら、どこがちがった?」
  • 「はじめは『昔の道具は不便』と書いていた人が多かったけど、今はどう?」

この型は、導入でズレを見せたり、予想させたりした授業(導入の記事の型1・型4)と特に相性がいいです。はじめにノートに書いた予想や考えを、終わりにもう一度見直す。そうすると、子どもは「自分の考えがどう変わったか」を実感できます。

振り返りの書き出しを、「はじめは〜と思っていたけど、今は〜と思う。そう思ったのは〜」にしておくと、書きやすくなります。考えが変わらなかった子も、「はじめと同じで〜と思う。理由は、〜という意見を聞いて、さらにそう思ったから」と書けば、立派な振り返りです。

型6 次の時間への問いを残す

あえて、授業を閉じずに終える型です。その時間に分かったことをまとめた上で、「でも、まだ分からないことがあるよね」と、次の時間への問いを残します。

  • 国語:「ごんがうなずいた理由は分かった。でも、兵十はこの後どうしたんだろう?」
  • 算数:「小数×小数は分かったね。じゃあ、分数×分数だったら、どうなるかな?」
  • 理科:「温めると体積が大きくなることは分かった。じゃあ、冷やしたら?」
  • 社会:「この町の工夫は分かった。でも、ほかの町はどうしているんだろう?」

問いを残すと、子どもは授業が終わっても考え続けます。そして、次の時間の導入(導入の記事の型6)で、その問いから授業を始められます。授業と授業が、問いでつながるイメージです。

この型を使うときは、子どもに問いを出させるのもおすすめです。「今日の学習で、まだ分からないこと、もっと知りたいことはある?」と聞いて、振り返りに書かせる。その中から、次の時間の問いを選びます。子どもが出した問いから授業を始めると、子どもは「自分たちで授業をつくっている」と感じるようになります。

型7 振り返りの視点を決めて書く

最後は、振り返りを書くときの視点を、先生があらかじめ決めておく型です。「今日の振り返りを書きましょう」だけだと、子どもは「楽しかったです」と書きます。だって、本当に楽しかったんですから。そこで、何について書くかを決めておきます。

よく使われる視点は、たとえばこんなものです。

  • わかったこと:今日の学習で分かったこと(まとめに近い)
  • まだわからないこと:まだ分からないこと、もっと知りたいこと
  • 友だちから:友だちの意見で、参考になったこと
  • 学び方:どんな方法で考えたか、何がきっかけで分かったか
  • 次にしたいこと:次の時間にやってみたいこと

毎回全部を書かせる必要はありません。むしろ、1回の授業で1〜2個に絞るほうがいいと思っています。全部書かせようとすると、それだけで10分かかってしまいます。

私なら、その時間のねらいに合わせて視点を選びます。話し合いが中心の授業なら「友だちから」。新しい方法を学んだ授業なら「学び方」。次につなげたい授業なら「まだわからないこと」。視点を選ぶこと自体が、その時間に何を大事にしたかを子どもに伝えることになります。

視点を決めたら、書き出しを示しておくと、さらに書きやすくなります。「〇〇さんの〜という意見を聞いて、〜と思いました」「はじめは〜だったけど、〜したら分かりました」。書き出しがあると、何を書けばいいか分からない子も、とりあえず書き始められます。

終わりの10分の使い方の目安

型を組み合わせるとき、時間の配分も決めておくと迷いません。私なら、終わりの10分をおおよそこう使います。

最初の3〜4分でまとめ。型1〜3のどれかで、めあてに対する答えを書きます。次の2〜3分で確かめ。型4の適用問題を1問、または型5で「はじめの考え」を見直します。最後の3分で振り返り。型6か型7で、視点を1〜2個に絞って書きます。

もちろん、毎回きっちりこの通りにはいきません。話し合いが深まった日は、確かめを省いてまとめと振り返りだけにする。新しい用語を教えた日は、まとめを先生が1分で示して、適用問題を2問にする。その日の授業に合わせて、どこを厚くするかを決めればいいと思っています。

ただ、どんな日でもまとめだけは省かない。これだけは決めておくと、授業が「楽しかったけど、何をしたんだっけ」で終わることが減ります。

めあてとまとめを対応させる

7つの型の話をしてきましたが、まとめを考えるときに一番大事なのは、実は型ではなく、めあてとまとめが対応しているかです。

めあてが「〜はなぜだろう」なら、まとめは「〜だから」になるはずです。めあてが「〜を比べよう」なら、まとめは「〜と〜は、〇〇がちがう」。めあてが問いの形なら、まとめはその答えの形になります。

ところが、めあてが「〜しよう」という活動の形になっていると、まとめが書きにくくなります。たとえば、めあてが「ごんの気持ちを考えよう」だと、まとめは何を書けばいいのか。「ごんの気持ちを考えました」では、まとめになりません。

そういうときは、めあてを問いの形にしてみる。「ごんは、なぜうなずいたのだろう」。こうすると、まとめは「ごんは、兵十に〜と気づいてもらえたから、うなずいた」のように、答えの形で書けます。

まとめで迷ったら、めあてに戻ってみる。めあての形を変えるだけで、まとめがすっと書けることがあります。

まとめでやりがちなこと

最後に、まとめと振り返りでやりがちなことを3つ挙げておきます。

時間がなくて飛ばす。これが一番多いと思います。展開がのびて、まとめの時間がなくなる。対策は、まとめの時間を先に決めておくことです。「残り10分になったら、どんなに盛り上がっていてもまとめに入る」と決めておく。話し合いを途中で切るのはもったいない気もしますが、まとめのない授業より、話し合いが少し短い授業のほうが、子どもには残ります。どうしても時間がないときは、型1(先生がまとめる)で1〜2分で済ませ、振り返りは次の時間の最初に回す、という手もあります。

振り返りが「楽しかったです」だけになる。これは、型7で書いた通り、視点を決めていないことが原因のことが多いです。それから、振り返りを書かせっぱなしにしていると、子どもは「書いても読まれない」と感じて、だんだん短くなっていきます。次の時間の導入で振り返りを読み上げる(導入の記事の型6)など、書いたものを使う場面をつくると、振り返りの中身が少しずつ変わっていきます。

まとめが板書の写しになる。先生がまとめを板書して、子どもが写して終わり。これだと、子どもは写すことに集中して、中身を考えません。先生がまとめる場合でも(型1)、写す前に「このまとめ、自分の言葉で言うとどうなる?」と隣の人と話す時間を30秒とるだけで、ちがってきます。

おわりに

授業の終わりの10分を、7つの型にまとめてみました。

まとめの型として、先生がまとめる、子どもの言葉でまとめる、キーワードを指定して書く、適用問題で確かめる。振り返りの型として、はじめの考えと比べる、次の時間への問いを残す、振り返りの視点を決めて書く。

「まとめ」は今日わかったこと、「振り返り」は学び方と次への問い。この2つを分けて考えるだけで、授業の終わりに何をすればいいかが、ずいぶんはっきりすると思います。

それから、まとめは、その時間だけのものではありません。今日のまとめや振り返りが、次の時間の導入になる。導入・展開・まとめは、1時間の中で完結するのではなく、授業と授業をつないでいくものなのだと思っています。

導入と展開については、別の記事にまとめています。

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