教材で読む次期学習指導要領#10 「へんとつくり」の単元と、毎日の漢字練習をつなげる 「読み書き」と「成り立ち」が一つの事項になる

授業づくり

漢字の学習って、国語の中で一番「別のもの」になっていませんか?

毎日の漢字ドリル。週に一回の小テスト。それとは別に、教科書には「へんとつくり」や「漢字の組み立て」「漢字の成り立ち」といった単元がある。でも、その単元が終わると、毎日の漢字練習はまた「なぞって、書いて、覚える」に戻る。

正直、私もそうでした。今回は、審議まとめに出てきた漢字の話から、この「二本立て」を一本にする方法を考えてみます。

審議まとめの漢字の例

審議まとめは、国語の〔知識及び技能〕を整理し直す例として、まさに漢字を挙げています。

現行では、「漢字の読みと書き」と「漢字の偏やつくり、由来や特質」は別の内容として示されているが、これらの内容を統合し、文章を読んだり書いたりする際の基盤となる「知・技」として、漢字の構成や意味などと関連付けながら漢字の読み方と書き方を理解し、身に付けられるよう、一括りの事項として整理して示す。

つまり、今の学習指導要領では、

  • 漢字を読む・書く(言葉の特徴や使い方に関する事項)
  • 漢字の偏やつくり、由来など(我が国の言語文化に関する事項)

が別の場所に書いてあります。これを一つにまとめるという方向です。

書写の部分でも、「未知語や新出漢字の習得、漢字の成り立ちや文字のもつ意味・文化性への関心と関連付けるなど、各学習内容を結び付けて指導すること」とあります。

「別々」だと何が起きるか

別々に教えていると、子どもの中で、こんなことが起きます。

  • 「へんとつくり」の単元では、「さんずいは水に関係がある」と分かる
  • でも、新しい漢字「泳」を覚えるときは、「てん、てん、てん、それから…」と、一画ずつ覚える

組み立ての知識が、覚えるときに使われていない。もったいないですよね。部首の意味を知っていれば、「泳」は「水に関係がある字」と見当がつく。「永」の部分は「えい」と読むから、音も分かる。覚える手がかりが、ぐっと増えます。

毎日の練習に「組み立て」を入れる

では、どうつなげるか。私なら、毎日の新出漢字の練習に、一言だけ「組み立て」を入れることから始めます。

新出漢字の紹介を「分解」から

新しい漢字を紹介するとき、「この字は、どんな部分でできている?」と聞いてから書き順に入ります。

たとえば「植」。子どもは、「木へん」と「直」と答える。「木へんだから、何に関係ある?」「木!植物!」「じゃあ、『直』は?」「まっすぐ」「木をまっすぐ立てる、って覚えるといいね」。

成り立ちの正確な説明でなくてもいいんです。部分に分けて、意味の手がかりをつかむ。これを毎日くり返すと、子どもは自分から「これ、〇〇へんだ」と言い始めます。

同じ部首の漢字を集める

週に一回くらい、その週に習った漢字の部首から、同じ部首の漢字を集める時間をとります。「ごんべんの字、いくつ知ってる?」「話、語、読、計…」「全部、言葉に関係ある!」。

国語辞典や漢字辞典を引く練習にもなります。審議まとめでも、辞書を用いた語彙指導が例に出てきますね。

音読みの手がかり

高学年なら、形声文字の「音を表す部分」にも気づかせたいです。「清・晴・精・静」の「青」。「銅・胴・洞」の「同」。全部ではないけれど、手がかりになる。

ここまでくると、「へんとつくり」や「漢字の成り立ち」の単元は、毎日の練習の「答え合わせ」の時間になります。単元で初めて知るのではなく、毎日使っていたことを整理する時間です。

「書く」こと自体も大事にされている

一方で、審議まとめは、手で書くことをかなり大事にしています。書写のところで、タイピングによる文字入力が増える中でも、「文字を正しく認識し、正確に書く力」や、「我が国の文字文化について実感を伴って理解を深める観点」は重要で、とりわけ小学校では手書きによる丁寧な指導を推進する、とあります。

なので、「組み立てで覚えるから、書かなくていい」という話ではありません。組み立てを意識しながら、丁寧に書く。書くときに「木へんは、右はらいを止める」と気づく。これも、組み立ての知識と書くことがつながる場面です。

苦手な子への配慮

漢字が苦手な子にとって、「何回も書いて覚える」は、正直つらい学習です。書くのに時間がかかる子、形を捉えるのが難しい子もいます。

審議まとめは、書字に困難さがある子について、デジタル学習基盤の活用や代替措置の積極的な提供を含め、一人一人の特性を踏まえて指導することを明確にする、と書いています。

組み立てで覚える方法は、こういう子にとっても、書く回数に頼らない手がかりになります。「部分に分けて、意味で覚える」は、案外、苦手な子にこそ効く方法だと思っています。

評価について

漢字の評価は、小テストの点数になりがちです。それはそれで必要です。

ただ、審議まとめの「知識及び技能」の評価の考え方では、機械的に習得する学習に偏らないように、実際に使う場面を想定した学習の中で理解の深まりを見る、という方向も示されています。たとえば、作文の中で習った漢字を使えているか、知らない漢字を見たときに部首から意味を推測できるか。小テスト以外の場面も、見ておきたいところです。

まとめ

  • 審議まとめは、「漢字の読み書き」と「偏やつくり、由来」を一つの事項にまとめる方向を、国語の例として明示している
  • 毎日の新出漢字の練習に「どんな部分でできている?」を一言入れるだけで、組み立ての知識が使われるようになる
  • 手で丁寧に書くことは引き続き重視。苦手な子には、書く回数に頼らない手がかりにもなる

「この字、さんずいだから水っぽい」。そんなつぶやきが教室で聞こえたら、しめたものです。

次回は、その「書くこと」の話の続きで、書写とタイピングを考えます。

参考

  • 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「国語」p.134、p.137、p.140〜141 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第3学年及び第4学年〔知識及び技能〕(1)エ(漢字)、(3)ウ(漢字の構成)
  • 関連記事:漢字が覚えられない子にどう教えるか 「書いて覚える」だけにしない漢字指導

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