教材で読む次期学習指導要領#5 「ごんぎつね」を基幹教材に、新美南吉をもう一冊 教科書の「基幹教材」と「関連教材」という考え方

授業づくり

どうも。「せいたか先生」です。

秋の4年生といえば「ごんぎつね」。教材研究の記事は前に書いたので、今回は少し違う角度から。審議まとめが教科書について言っている「基幹教材」と「関連教材」という考え方を、「ごんぎつね」に当てはめてみます。

審議まとめの「基幹教材」と「関連教材」

審議まとめは、教科書の内容の精選について、こんな方向を示しています。

各教材の役割や扱いの軽重を明確にし、身に付けるべき資質・能力の育成を主として担う「基幹教材」を明確にした上で、各校の教育課程や児童生徒の状況に応じて弾力的に活用できる「関連教材」を位置付ける。

例として挙がっているのは説明文で、「文章の構成や論理の展開を的確に捉える力」をねらうなら、論理の展開が比較的明確な文章を基幹教材に、同じテーマで構成が異なる文章などを関連教材に、という整理です。基幹教材で育てた力を、関連教材でくり返し使って定着させたり、発展させたりする。

そして、調整授業時数制度で時数を増減する場合も、身に付けるべき資質・能力と必要な内容を保障した上で、「関連教材」の活用の程度を調整する、とあります。

つまり、全部の教材を同じ重さで教えなくていい。その代わり、真ん中の教材ははっきりさせる、ということです。

「ごんぎつね」は、まさに基幹教材

物語でこれを考えると、「ごんぎつね」はど真ん中の基幹教材です。

  • 登場人物の気持ちの変化を、行動や会話、情景から読む
  • 場面と場面をつなげて読む
  • 視点(ごんの側から語られているか、兵十の側か)に気づく
  • 結末について、自分の考えをもつ

4年生の「読むこと」で育てたい力が、ほぼ全部詰まっています。だから、この教材で丁寧に読む時間をとることには意味があります。

問題は、その後です。「ごんぎつね」で育てた読む力を、もう一度使う場面があるかどうか。

関連教材としての、新美南吉作品

そこで、関連教材として、新美南吉のほかの作品を一冊(一編)読む、という単元を考えてみます。多くの教科書でも、「ごんぎつね」の後に新美南吉の作品を紹介するページがあると思います。【要確認:お使いの教科書の紹介ページ】

たとえば、

  • 「手袋を買いに」:子ぎつねと母さんぎつね、人間への見方
  • 「おじいさんのランプ」:時代の変化と、巳之助の決断
  • 「花のき村と盗人たち」:盗人の心が変わっていく話
  • 「でんでんむしのかなしみ」:短く、低学年の頃に読んだ子もいる

どれも、「ごんぎつね」で使った読み方が、そのまま使えます。気持ちの変化、情景、結末。特に「手袋を買いに」は、きつねと人間という組み合わせが同じなので、「人間は、きつねにとってどんな存在として書かれている?」と比べると、子どもの読みが一気に深まります。

単元の流れのイメージ

第1次 「ごんぎつね」を丁寧に読む(基幹教材)

ここは、これまで通りです。気持ちの変化、視点の転換、結末の「うなずきました」。この単元で育てたい読む力を、しっかり身に付ける時間です。

第2次 新美南吉の作品を選んで読む(関連教材)

数作品から、子どもが一つ選んで読みます。読むときの観点は、第1次と同じものを使います。「中心人物の気持ちはどこで変わった?」「結末をどう思う?」

ここでのポイントは、先生が新しい読み方を教えないことです。第1次で使った読み方を、自分で使ってみる。審議まとめのいう「基幹教材で育成した資質・能力を、関連教材で繰り返し働かせて定着を図る」です。

第3次 紹介し合う

同じ作品を選んだ子同士、違う作品を選んだ子同士で紹介し合います。「ごんぎつね」と比べてどうだったかを、一言入れる。

読書の話ともつながる

審議まとめは、国語の課題として、読書習慣の定着をかなり重く見ています。そして、読書について二つの方向を示しています。

  • 読書へのきっかけの創出や動機づけを高める機会の充実
  • 自立的な読書への移行を支える学習の充実

「ごんぎつね」から新美南吉の別の作品へ、というのは、まさに授業の読みから自分の読書への橋渡しです。教室に新美南吉の本を何冊か置いておくだけでも、休み時間に手に取る子が出てきます。学校図書館の司書さんに相談すれば、まとめて貸し出してもらえることも多いです。

時数はどうするか

これも、時数を足す話ではありません。

「ごんぎつね」の単元の中で、第2次・第3次を数時間とる。その分、第1次で全部の場面を同じ重さで扱うのをやめる。たとえば、1場面から5場面までを毎時間1場面ずつ読むのではなく、気持ちが大きく変わる場面に時間をかけて、ほかは短く確認する。

審議まとめのいう「扱いの軽重を明確にする」は、教科書の教材の間だけでなく、一つの教材の中の場面の間でも考えられることだと思います。

気をつけたいこと

選んで読む活動は、読むのが苦手な子には負担になります。長さの違う作品を用意しておく、教師が読み聞かせをする、音声で聞ける環境があれば使う。そういう手立ては用意しておきたいところです。

審議まとめも、国語で、子どもの習熟状況に合わせたきめ細やかな対応が必要と書いています。関連教材は「全員同じものを同じだけ」でなくていいのです。

まとめ

  • 審議まとめは、教科書の教材を「基幹教材」と「関連教材」に分け、役割と扱いの軽重をはっきりさせる方向を示している
  • 「ごんぎつね」は4年生の読む力が詰まった基幹教材。そこで育てた読み方を、新美南吉のほかの作品(関連教材)でもう一度使う
  • 授業の読みから自分の読書への橋渡しにもなる

「ごんぎつね」で泣いた子が、自分で「手袋を買いに」を手に取る。そうなればしめたものです。

次回は、2年生の「スイミー」で、語彙の学習を考えます。

参考

  • 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「国語」p.130、p.135、p.138 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第3学年及び第4学年 C読むこと(1)・(2)、〔知識及び技能〕(3)オ
  • 新美南吉「ごんぎつね」(4年の各社教科書)、「手袋を買いに」「おじいさんのランプ」「花のき村と盗人たち」ほか
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