【はじめての授業づくり #4】はじめての評価 3観点を、単元の中で無理なく見取って記録する

【はじめての授業づくり #4】はじめての評価 3観点を、単元の中で無理なく見取って記録する 授業づくり

学期末。通知表の締め切りが近づいてきて、成績一覧表を開く。国語の「思考・判断・表現」の欄。……あれ、この子のこの観点、何で評価したんだっけ。

評価は、授業づくりの中でも、特に「よく分からないまま」進めてしまいがちなところだと思います。3つの観点があることは知っている。A・B・Cをつけることも知っている。でも、いつ、何を、どうやって記録すればいいのかは、案外だれも教えてくれません。

連載「はじめての授業づくり」の4回目は、評価です。評価の仕組みを整理したうえで、単元の中でどう見取り、どう記録するかを、全教科向けにまとめてみます。

まず、評価の仕組みを整理する

細かい話の前に、今の小学校の評価の仕組みを、ざっと整理しておきます。

3つの観点

今の学習指導要領(平成29年告示)のもとでは、各教科の学習を、次の3つの観点で評価します。

  • 知識・技能:その教科で学ぶ知識や技能を、身につけているか。
  • 思考・判断・表現:知識や技能を使って、考えたり、判断したり、表現したりしているか。
  • 主体的に学習に取り組む態度:粘り強く学習に取り組もうとしているか、自分の学習を調整しようとしているか。

この3つは、学習指導要領が示す「資質・能力の3つの柱」(知識及び技能/思考力、判断力、表現力等/学びに向かう力、人間性等)に対応しています。

A・B・C と評定

観点ごとに、子どもの学習の状況をA・B・Cの3段階で評価します。

  • A:十分満足できる
  • B:おおむね満足できる
  • C:努力を要する

そして、3つの観点の評価をもとに、教科ごとの評定を出します。小学校の3年生以上では、評定は3段階です。

ここで大事なのは、評価の基準になるのは「B」だということです。単元の目標に照らして、「この姿が見られればB」という基準を決める。それを上回る姿が見られればA、届かなければC。この「Bの姿」を具体的に書いたものが、評価規準です。

評価規準は「単元の目標」から作る

評価規準は、観点ごとに、単元の目標をもとに作ります。たいていは、指導書に例が載っています。また、国立教育政策研究所が教科ごとに出している『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』にも、作り方と例がくわしく載っています。

評価規準の書き方には、ある程度の決まりがあります。

  • 知識・技能:「〜を理解している」「〜することができる」
  • 思考・判断・表現:「〜について、〜している」(何について、どう考えているか、を書く)
  • 主体的に学習に取り組む態度:「〜しようとしている」

たとえば、算数の「小数のかけ算」なら、こんな感じです。

  • 知識・技能:小数×小数の計算の仕方を理解し、筆算で計算することができる。
  • 思考・判断・表現:整数のかけ算の計算の仕方をもとに、小数×小数の計算の仕方を考え、説明している。
  • 主体的に学習に取り組む態度:小数×小数の計算の仕方を、粘り強く考えたり、学習したことを生活や学習に活用しようとしたりしている。

※例として示したものです。実際には、使っている教科書の指導書や、学校で決めている評価規準をもとにしてください。

評価規準は、前回までの記事で書いた単元計画をつくる段階で、決めておきます。後から決めようとすると、「この観点を評価する場面がない」ということになりがちです。

「記録に残す評価」と「指導に生かす評価」を分ける

評価をはじめてやるときに、いちばん楽になる考え方があります。それが、「記録に残す評価」と「指導に生かす評価」を分けることです。

授業の中で、先生は毎時間、子どもの様子を見ています。ノートを見る、発言を聞く、表情を見る。これはすべて評価です。でも、それを全部記録に残す必要はありません。

毎時間の授業で子どもの様子を見て、「この子はまだ分かっていないな」と思ったら、その場で声をかける。次の時間に手だてを用意する。これが指導に生かす評価です。記録には残しません。

一方、単元の中の決まった場面で、決まった方法で、全員の学習の状況を記録する。これが記録に残す評価です。通知表の評価は、この記録をもとにつけます。

記録に残す評価は、1つの観点につき、単元の中で1〜2回で十分です。前回の単元計画の記事でも書きましたが、たとえば10時間の単元なら、こんなイメージです。

観点 記録に残す場面 方法
知識・技能 5時間目、10時間目 練習問題、単元テスト
思考・判断・表現 7時間目、9時間目 山場の時間のノート、まとめの文章
主体的に学習に取り組む態度 1時間目と9時間目 単元の最初と最後の振り返り

これを単元計画の表に書きこんでおけば、「今日は記録に残す日」と分かります。記録に残す日は、その観点の記録に集中する。それ以外の日は、記録のことは気にせず、子どもの様子を見て指導に生かす。この切りかえができると、評価の負担はかなり軽くなります。

観点ごとの見取り方

では、それぞれの観点を、どうやって見取ればいいか。観点ごとに書いていきます。

知識・技能:テストと練習問題で見る

知識・技能は、いちばん見取りやすい観点です。単元テストや、練習問題、小テストなどで、正しく答えられているかを見ます。

ただし、テストの点数だけで評価するのではなく、授業中の様子も合わせて見ることが大事です。テストではまちがえたけれど、授業中の練習問題ではできていた。逆に、テストではできたけれど、授業中はほとんど手が止まっていた。こういう子の評価は、テストの点数だけでは決められません。

それから、知識・技能には「技能」も含まれます。算数なら作図、理科なら実験器具の使い方、体育なら運動の技能。こうした技能は、テストではなく、授業中の観察で見取ります。観察するときは、名簿を持って、見る子を決めて回ると記録しやすくなります。

思考・判断・表現:ノートと文章で見る

思考・判断・表現は、子どもが考えたことを書いたもので見取るのが基本です。山場の時間のノート、単元のまとめの文章、説明する文章、作品など。

見取るときは、評価規準の「Bの姿」と照らし合わせます。たとえば、評価規準が「整数のかけ算の計算の仕方をもとに、小数×小数の計算の仕方を考え、説明している」なら、ノートに「整数にして計算して、あとで小数点をうつ」のように、整数とのつながりを使って説明できていればB。さらに、図や式を使って、なぜそうなるかまで説明できていればA。説明が書けていない、または整数とのつながりがないならC。

こういうA・B・Cの目安を、評価する前に決めておくと、ノートを見るときに迷いません。目安は、評価規準を書いた紙の横に、短くメモしておくくらいで十分です。

思考・判断・表現は、テストの記述問題でも見取れます。ただ、テストだけだと、決まった問いに対する答えしか見えません。授業の中で、子どもが自分で考えたことを書く場面を、単元の中に1〜2回つくっておくと、評価の材料が豊かになります。

主体的に学習に取り組む態度:振り返りの変化で見る

3つの観点のうち、いちばん評価しにくいと言われるのが、この観点です。

まず押さえておきたいのは、この観点は「挙手の回数」や「ノートのきれいさ」で評価するものではないということです。中央教育審議会の報告(「児童生徒の学習評価の在り方について」平成31年1月)でも、この観点は、粘り強く学習に取り組もうとする側面と、自分の学習を調整しようとする側面の2つから評価するとされています。

つまり、「あきらめずに考え続けようとしているか」と、「うまくいかないときに、やり方を変えようとしているか」。この2つを見ます。

見取る方法として使いやすいのは、振り返りです。単元の最初と最後の振り返りを比べて、「最初は〇〇が分からなかったけど、〇〇してみたら分かった」「次は〇〇をやってみたい」のように、自分の学び方について書けているかを見ます。

振り返りを評価に使うときは、振り返りの視点をあらかじめ示しておくことが大事です。「今日の振り返りを書きましょう」だけだと、「楽しかったです」で終わってしまい、評価の材料になりません。「どんな方法で考えたか」「次に何をしたいか」など、視点を決めて書かせます。振り返りの視点については、まとめの記事にくわしく書いています。

記録のしかた:名簿1枚で十分

記録に残す評価をするとき、どう記録するか。私なら、単元ごとに名簿を1枚用意します。

名簿の横に、観点ごとの記録の欄を作る。記録に残す日に、ノートや振り返りを見て、A・B・Cを書きこむ。それだけです。

コツは、全員にA・B・Cをつけようとしないことです。ノートを見て、まず「Bの姿」に届いている子には何も書かない。Aの子にだけ「A」、Cの子にだけ「C」と書く。こうすると、書きこむのは全体の3分の1くらいになります。何も書いていない子は、B。

ICTを使える学校なら、表計算ソフトで同じことをしてもいいと思います。名簿を学年で共有しておけば、学期末の成績処理もスムーズです。

それから、Cの子には、その場で手だてを打つことを忘れないようにしたいところです。記録に残す評価でCだった子は、そのままにしておかず、次の時間に声をかけたり、補充の問題を用意したりする。そして、単元の後半でもう一度見取って、Bになっていれば、記録を更新する。評価は、子どもに点をつけるためではなく、子どもを伸ばすためのものです。

評価規準は、子どもにも伝える

評価規準は、先生だけが持っておくものではありません。子どもにも、分かる言葉で伝えると、評価がぐっと生きてきます。

たとえば、単元の最初に、「この単元の最後には、小数点の位置を、整数のかけ算と比べて説明できるようになるのが目標です」と伝える。まとめの文章を書かせる時間には、「今日は、こういうことが書けていたらばっちりです」と、Bの姿を黒板に書いておく。

ゴールが見えていると、子どもは何をがんばればいいかが分かります。それに、評価される側の子どもにとっても、「何で評価されたのか分からない」ということがなくなります。評価規準を子どもと共有することは、評価を「先生がつけるもの」から「子どもと一緒に確かめるもの」に変えていくことでもあると思っています。

学期末に、記録から評価をまとめる

学期末には、単元ごとの記録をもとに、観点ごとの評価をまとめます。

まとめ方は、学校ごとに決まりがあることが多いです。たとえば、「単元ごとのA・B・Cを数えて、多いほうにする」「Aが半分以上ならA」など。まずは、学校や学年で決まっているまとめ方を確認しておきます。決まっていなければ、学年の先生と相談して、そろえておくといいと思います。

まとめるときに注意したいのは、記録のない観点がないようにすることです。学期末になって、「思考・判断・表現の記録が、1つの単元にしかない」ということに気づくと、あわてることになります。これを防ぐために、単元計画の段階で記録の場面を決めておくのです。

評価でやりがちなこと

最後に、はじめての評価でやりがちなことを3つ挙げておきます。

毎時間、全員の全観点を記録しようとする。まじめな先生ほど、やりがちです。毎時間ノートを集めて、全員に3観点のA・B・Cをつける。1週間もすれば、放課後の時間がすべて評価に消えていきます。記録に残すのは、決めた場面だけ。それ以外は、指導に生かす評価です。

テストの点数だけで決める。テストは大事な材料ですが、それだけで3観点を決めると、「主体的に学習に取り組む態度」を見る材料がありません。テストの点数が、そのまま態度の評価になってしまうこともあります。観点ごとに、ちがう材料を使うのが基本です。

評価規準を決めずに評価する。ノートを見て、「なんとなくよく書けているからA」とつけてしまう。こうすると、同じノートでも、見る日によって評価が変わってしまいます。評価の前に、「Bの姿」と「Aの姿」を一行ずつでいいので書いておく。それだけで、評価がぶれにくくなります。

次の学習指導要領に向けて、評価も議論されている

最後に、少しだけ先の話を書いておきます。

2024年12月、文部科学大臣から中央教育審議会に、次の学習指導要領に向けた諮問が出されました。今、教育課程の見直しとあわせて、学習評価の在り方についても議論が進んでいます。

特に話題になっているのが、「主体的に学習に取り組む態度」の評価です。現場からは、「態度を評価するために、挙手の回数や提出物の数を数えてしまう」「評価の材料集めが負担になっている」という声が以前から上がっていました。こうした声をふまえて、どう見直していくかが議論されています。

まだ議論の途中なので、実際にどうなるかは、これから決まっていきます。ただ、どう変わるにしても、挙手の回数を数えたり、提出物の数で態度を評価したりするのではなく、子どもが考える過程の中で、粘り強さや学びの調整を見取っていく。そういう見方で今から評価をしておけば、仕組みが変わってもあわてずにすむと思います。

おわりに

はじめての評価を、仕組みと見取り方、記録のしかたでまとめてみました。

3つの観点と、A・B・C。基準は「Bの姿」。記録に残す評価と、指導に生かす評価を分ける。記録に残すのは、1つの観点につき単元で1〜2回。記録は名簿1枚で、AとCだけ書きこむ。そして、Cの子には、その場で手だてを打つ。

評価は、通知表のためだけにあるのではありません。子どものどこが伸びていて、どこでつまずいているのか。それを先生が知るための窓です。窓から見えたものを、次の授業に生かしていく。そう考えると、評価は少しだけ楽しくなる……かもしれません。

次回は、連載の最終回。学習指導案の書き方です。

連載「はじめての授業づくり」


参考にしたもの

  • 文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)』
  • 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(平成31年1月21日)
  • 国立教育政策研究所 教育課程研究センター『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』(令和2年3月)
  • 文部科学大臣「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」(令和6年12月25日)

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