【はじめての授業づくり #2】はじめての単元計画づくり 単元の目標から、毎時間のめあてまでを1枚にする

【はじめての授業づくり #2】はじめての単元計画づくり 単元の目標から、毎時間のめあてまでを1枚にする 授業づくり

教材研究は済んだ。単元の目標も、評価規準も、時数も分かった。山場の時間も決めた。

さて、ここからです。10時間なら10時間、15時間なら15時間。その一つ一つの授業で、何をするのか。それを決めるのが単元計画です。

単元計画というと、指導案の一部として書く、表がたくさんある書類を思い浮かべる方も多いと思います。もちろん、研究授業のときはそういう形で書きます。でも、毎日の授業のための単元計画は、もっとシンプルでいい。私は、A4の紙1枚に、単元の目標から毎時間のめあてまでが見えるくらいがちょうどいいと思っています。

連載「はじめての授業づくり」の2回目は、その1枚をつくる手順です。

単元計画は「ゴールから逆に」つくる

先に、いちばん大事なことを書いておきます。単元計画は、1時間目から順番に考えない。ゴールから逆に考えます。

1時間目から順番に考えていくと、「1時間目は教科書の最初のページ、2時間目は次のページ……」と、教科書のページをなぞるだけの計画になりがちです。そして、最後の時間になって「あれ、単元の目標に届いていない」と気づく。ありますよね。

そうではなく、まず単元の終わりに、子どもがどんな姿になっていてほしいかを決める。次に、その姿にたどりつくために、どんな時間が必要かを考える。最後に、それを1時間ずつに割りふる。

この順番でつくる手順を、5つに分けて書いていきます。

  1. 単元の終わりの子どもの姿を決める
  2. 評価の場面を決める
  3. 単元を「次」に分ける
  4. 1時間ずつ、めあてを決める
  5. 1枚の表にまとめる

手順1 単元の終わりの子どもの姿を決める

まず、単元の目標を、子どもの具体的な姿に言いかえます。

指導書に書いてある単元の目標は、たいてい「〜することができる」「〜について理解する」という形です。たとえば算数なら「小数のかけ算の計算の仕方を理解し、計算することができる」。国語なら「登場人物の気持ちの変化について、場面の移り変わりと結びつけて具体的に想像することができる」。

これを、単元の最後の授業で、子どもが何をしているかに言いかえてみます。

  • 算数:「小数×小数の計算を、筆算で正しくできる。さらに、なぜ小数点をその位置に打つのかを、整数のかけ算と比べて説明できる」
  • 国語:「物語の最初と最後で、主人公の気持ちがどう変わったかを、本文の言葉を使って説明する文章が書ける」
  • 社会:「町の工場の人たちが工夫していることを3つ挙げ、それがだれのためかを説明できる」
  • 理科:「ものを温めたときの体積の変化を、実験の結果をもとに説明し、身の回りの例を1つ挙げられる」

こうして具体的な姿にすると、単元の最後の授業で何をすればいいかが見えてきます。算数なら、「小数点の位置を説明する」時間が必要。国語なら、「気持ちの変化を文章に書く」時間が必要。社会なら、「工夫とその理由をまとめる」時間が必要です。

この「最後の姿」を、単元計画の一番上に書いておきます。単元の途中で迷ったら、ここに戻ってくる。それが、単元計画の軸になります。

手順2 評価の場面を決める

次に、どの時間に、何を評価するかを決めます。

評価というと、単元の最後にテストをして終わり、というイメージがあるかもしれません。でも、観点別の評価では、3つの観点(知識・技能/思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度)それぞれについて、単元のどこかで子どもの姿を見取る必要があります。

ここで大事なのは、毎時間、全部の観点を評価しようとしないことです。それは無理です。無理ではなく、無茶です。

そのかわり、単元の中で「この時間は、この観点を、こういう方法で記録する」という場面を決めておきます。たとえば、10時間の単元なら、次のようなイメージです。

  • 知識・技能:単元の中ごろの練習問題(5時間目)と、単元末のテスト(10時間目)で記録する。
  • 思考・判断・表現:山場の時間(7時間目)のノートと、最後のまとめの文章(9時間目)で記録する。
  • 主体的に学習に取り組む態度:単元の最初と最後の振り返り(1時間目・9時間目)を比べて記録する。

記録に残す場面は、1つの観点につき1〜2回で十分です。それ以外の時間は、記録には残さなくても、子どもの様子を見て、指導に生かす。この「記録に残す評価」と「指導に生かす評価」を分けて考えると、評価の負担がかなり軽くなります。

評価のくわしい話は、この連載の4回目で書きます。ここでは、単元計画をつくる段階で、評価の場面を決めておくことだけ押さえておいてください。後から決めようとすると、「あれ、思考・判断・表現を記録する場面がない」ということになりがちです。

手順3 単元を「次」に分ける

次に、単元をいくつかのまとまりに分けます。このまとまりを「次(じ)」と呼びます。第1次、第2次、第3次、という言い方をします。

多くの単元は、次の3つのまとまりで考えられます。

  • 第1次 出会う・問いを持つ:単元の学習と出会い、「何を学ぶのか」「何を知りたいのか」をはっきりさせる。1〜2時間。
  • 第2次 考える・追究する:単元の中心となる学習。問いについて考え、調べ、話し合う。単元の時数の半分以上。
  • 第3次 まとめる・使う:学んだことをまとめ、ほかの場面で使ってみる。1〜3時間。

教科ごとに、少しずつ形はちがいます。

  • 国語(物語):第1次で全文を読んで初発の感想を書き、学習の計画を立てる。第2次で場面ごとに読む。第3次で、物語全体について考えたことを書いて交流する。
  • 算数:第1次で新しい問題と出会い、これまでの学習とのちがいに気づく。第2次で計算の仕方を考え、練習する。第3次で、まとめの問題や、生活の中での活用を考える。
  • 社会:第1次で資料から疑問を出し合い、単元の問い(学習問題)をつくる。第2次で調べる。第3次で、調べたことをまとめ、自分の考えを表現する。
  • 理科:第1次で自然の事物と出会い、問題を見つける。第2次で予想・実験・考察をくり返す。第3次で、学んだことを生活に当てはめる。

ここで、手順1で決めた「最後の姿」と、教材研究で決めた「山場」を、どの次に入れるかを考えます。山場は、たいてい第2次の後半に来ます。最後の姿は、第3次で見られるようにします。

手順4 1時間ずつ、めあてを決める

次ができたら、いよいよ1時間ずつの中身を決めます。ここでやることは、毎時間の「めあて」を1行で書くことです。

めあては、できるだけ問いの形で書くのがおすすめです。「〜しよう」という活動の形より、「〜はなぜだろう」「〜するには、どうすればいいだろう」という問いの形のほうが、その時間に何を考えるかがはっきりします。それに、問いの形のめあてなら、まとめは「その答え」として書けます。

たとえば、算数「小数のかけ算」(全10時間)なら、こんな感じです。

時 めあて
1 80×2.3の計算の仕方を考えよう(整数×小数との出会い)
2 2.3×4.5は、どうやって計算すればいいだろう
3 小数×小数の筆算で、小数点はどこにつければいいだろう
4 0の付け方・消し方に気をつけて筆算しよう
5 練習問題で、計算の仕方を確かめよう(知識・技能の記録)
6 1より小さい数をかけると、答えはどうなるだろう
7 かける数と積の大きさには、どんな関係があるだろう(山場・思考の記録)
8 面積や体積の公式は、小数のときも使えるだろうか
9 小数のかけ算で分かったことを、説明する文章にまとめよう(思考の記録・振り返り)
10 まとめのテスト(知識・技能の記録)

※時数やめあては、例として示したものです。実際には、使っている教科書と指導書の単元計画をもとに決めてください。

こうして並べてみると、単元の流れが一目で分かります。どこが山場か、どこで評価するか、どこで新しいことを学ぶか。この表が、単元計画の中心になります。

めあてを決めるときは、前の時間とのつながりを意識します。1時間目のめあてで出てきた疑問が、2時間目のめあてになる。そういうつながりがあると、子どもは「前の時間の続き」として授業に入れます。

もう一つ、めあてを並べたら確かめておきたいのが、時数が年間の計画におさまっているかです。指導書の時数は目安なので、学校の年間指導計画(教育課程)で決められた時数と見比べておきます。行事や学期末の短縮日課を考えると、指導書通りの時数がとれないこともあります。そのときは、最初から1〜2時間少ない計画にしておき、余った時間を「予備」として最後に置いておく。予備の時間があるだけで、計画がずれたときの気持ちの余裕がまるでちがいます。

手順5 1枚の表にまとめる

最後に、ここまで決めたことを、1枚の表にまとめます。私なら、次のような形にします。

  • 一番上:単元名、時数、単元の終わりの子どもの姿(手順1)
  • その下:評価の場面(手順2)。観点ごとに、何時間目に何で記録するか
  • 真ん中:次ごとの時間割表(手順3・4)。時・めあて・主な活動・評価
  • 一番下:予想されるつまずきと手だて(#1の教材研究のメモから)

これを、単元の間ずっと手元に置いておきます。毎日の授業の準備は、この表の「今日の行」を見るところから始めます。そうすると、「今日の授業は、単元全体の中でどこに当たるのか」を、毎回確かめられます。

子どもとも、単元計画を共有する

単元計画は、先生だけのものではありません。子どもとも共有すると、単元の進み方が変わってきます。

たとえば、第1次の終わりに、単元の流れを子どもに見せます。「この単元は全部で10時間。最後には、〇〇ができるようになるのがゴールです。そのために、こんな順番で学習していくよ」。黒板や模造紙に、めあての一覧を書いて、教室に掲示しておく。

これだけで、子どもは「今日は10時間のうちの4時間目。ゴールまであと6時間」と、自分の位置が分かるようになります。単元の見通しがあると、子どもは安心して学習に向かえます。それに、毎時間の授業の最初に「今日はここだね」と掲示を指さすだけで、導入の時間を短くできます。

もう一歩進めるなら、第1次で子どもが出した疑問を、単元計画に組みこむこともできます。「みんなが知りたいことは、この3つだったね。じゃあ、この順番で調べていこう」。子どもの疑問が、そのまま単元の時間割になる。こうすると、子どもは「先生に決められた計画」ではなく、「自分たちでつくった計画」として学習に取り組めます。

もちろん、すべての単元でここまでやる必要はありません。社会や理科、国語の説明文など、子どもの問いから学習を組み立てやすい単元で、まずは試してみてはいかがでしょうか。

単元計画でやりがちなこと

最後に、単元計画をつくるときにやりがちなことを3つ挙げておきます。

教科書のページを時数で割るだけになる。教科書が20ページで、時数が10時間なら、1時間2ページ。こういう割り方をすると、ページの多い時間と少ない時間で、内容の重さがばらばらになります。ページ数ではなく、「この時間で何を考えるか」で割りふるのが基本です。

第2次が長すぎて、第3次がなくなる。第2次の追究は楽しく、時間がかかります。気づけば最後の時間で、第3次のまとめを1時間で無理やり終わらせることに。これを防ぐには、単元計画の段階で、第3次の時間を先に確保しておくことです。第3次は、単元の「最後の姿」が見られる大事な時間です。

評価の場面が後半に集中する。単元の最後にテストとまとめの文章、振り返りが全部集まると、最後の数時間が評価だらけになります。子どもにとっても先生にとっても、しんどい時間です。手順2で書いたように、評価の場面は単元の中に散らしておくと、負担が分散されます。

計画通りにいかないときは

単元計画は、計画通りにはいきません。これは、断言していいと思います。

話し合いが盛り上がって、1時間で終わるはずの内容が2時間かかる。行事で授業がつぶれる。子どもの理解が思ったより早くて、1時間あまる。どれも、よくあることです。

計画通りにいかないときに大事なのは、手順1の「最後の姿」に戻ることです。時間が足りなくなったら、「最後の姿にたどりつくために、どの時間なら削れるか」を考える。逆に時間があまったら、「最後の姿に近づくために、どこを厚くするか」を考える。

削るときの目安を、1つだけ書いておきます。山場の時間と、評価の場面は削らない。削るなら、練習の時間や、まとめの時間の一部です。山場を削ると、単元のねらいに届かなくなります。評価の場面を削ると、学期末に評価の材料が足りなくなります。

それから、計画を変えたら、表に書きこんでおくことをおすすめします。「7時間目、2時間かかった。話し合いが深まったため」「9時間目、運動会の練習でつぶれたので10時間目と合わせた」。こうしたメモは、来年同じ単元をやるときに、何よりの資料になります。

学年の先生と、計画を合わせる

同じ学年に複数のクラスがある場合は、単元計画を学年でそろえておくといいと思っています。

特に、評価の場面とテストの時期は、学年でそろえておかないと、あとで困ることになります。「隣のクラスはもうテストが終わっているのに、うちはまだ第2次」ということになると、評価の時期がずれて、通知表の作業がばらばらになります。

すべてをそろえる必要はありません。めあてや活動は、クラスの様子に合わせて変えていい。でも、単元の始まりと終わり、テストの時期、評価の場面の3つだけは、学年でそろえておく。学年会で「来週から〇〇の単元に入ります。テストは〇日ごろの予定です」と一言確認するだけでも、ずいぶんちがいます。

おわりに

はじめての単元計画づくりを、5つの手順でまとめてみました。

単元の終わりの子どもの姿を決める。評価の場面を決める。単元を次に分ける。1時間ずつ、めあてを問いの形で決める。そして、1枚の表にまとめる。

単元計画は、つくって終わりではありません。授業をしながら、毎日少しずつ書きかえていくものです。最初に完璧な計画をつくろうとせず、まずは1枚の表をつくって、そこに書きこみながら進めてみてはいかがでしょうか。単元が終わるころには、その1枚が、来年の自分へのいちばんの贈り物になっているはずです。

次回は、単元計画の中の1時間の授業を、どう流すかの話です。

連載「はじめての授業づくり」

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