単元計画ができた。今日のめあても決まった。あとは、45分の授業をするだけ。
……なのですが、この「するだけ」が、はじめのうちは一番むずかしい。導入が長引いて、展開に入ったころには残り20分。話し合いが盛り上がって、気づけばチャイム。まとめも振り返りもできないまま、「続きは次の時間に」。これが続くと、単元計画がどんどん後ろにずれていきます。
連載「はじめての授業づくり」の3回目は、1時間の授業の流し方です。45分を、どんな順番で、どのくらいの時間配分で組むか。そして、授業中に先生が何を見て、どう動くか。全体像をまとめてみます。
導入・展開・まとめのそれぞれについては、型を並べた記事を別に書いています。この記事は、その3つをつなぐ「45分の地図」のつもりで読んでください。
45分の基本の時間配分
先に、基本の時間配分を書いておきます。私なら、45分をおおよそこう分けます。
| 時間 | 段階 | やること |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 導入 | 問いを持たせ、めあてを板書する |
| 5〜35分 | 展開 | 一人で考える→ペアやグループ→全体で話し合う |
| 35〜45分 | まとめ・振り返り | めあてに対するまとめを書き、振り返りを書く |
導入5分、展開30分、まとめ10分。これが基本の形です。
もちろん、教科や単元、その日の内容によって変わります。実験のある理科の時間なら、展開がもっと長くなる。漢字の練習が中心の時間なら、展開の中身がまったくちがう。でも、「まとめの10分は先に確保しておく」という考え方は、どの教科でも共通だと思っています。
展開は、時間があればあるほど使ってしまいます。だからこそ、まとめの時間を先に決めて、展開を「残りの時間」として考える。授業の時間配分は、後ろから決めるのがコツです。
授業の前にやること(前日〜休み時間)
1時間の授業は、チャイムが鳴る前から始まっています。授業の前にやっておくことを、3つ挙げておきます。
前日:「今日の行」を見て、板書を決める
前回の記事で、単元計画を1枚の表にまとめる話を書きました。授業の準備は、その表の「今日の行」を見るところから始めます。今日のめあて、主な活動、評価の場面。それを確かめたら、板書を決めます。
板書を決めると言っても、きれいな板書計画を書く必要はありません。ノートやメモ用紙に、黒板の形の四角をかいて、「めあてはここ」「子どもの考えはここに並べる」「まとめはここ」と、配置を決めるだけです。
板書の配置を決めると、授業の流れが自然と決まります。子どもの考えを左右に分けて書くなら、展開は「AとBのどちらか」を考える授業になる。上から下に書くなら、「順番に考えていく」授業になる。板書は、授業の設計図です。
前日:中心発問を一行で書く
板書と一緒に、中心発問を一行で書いておきます。その日の授業でいちばん考えさせたい問いです。
中心発問は、口に出して言ってみることをおすすめします。紙に書いたときは良さそうに見えても、声に出すと長すぎたり、分かりにくかったりすることがあります。一息で言える長さになっているか。子どもが聞いて、何を考えればいいか分かるか。前日に一度、声に出して確かめておきます。
休み時間:黒板と教具を準備する
授業の前の休み時間には、黒板に日付と単元名を書き、必要な教具(掲示物、実物、プリント、ICT機器など)を準備しておきます。
ICT機器を使う授業は、特に注意が必要です。大型テレビにつながらない、タブレットのアプリが開かない、ネットワークが遅い。こういうトラブルは、授業が始まってから起きると、5分、10分とあっという間に時間が過ぎます。休み時間のうちに、一度つないで、映ることを確かめておく。これだけで、授業の最初のつまずきがかなり減ります。
導入(0〜5分):問いを持たせて、めあてにつなぐ
チャイムが鳴ったら、導入です。導入のゴールは、子どもにその時間の問いを持たせ、めあてにつなぐことです。
導入でよくあるのが、前の時間の復習に時間をかけすぎることです。「前の時間はどんなことをしたかな?」と聞いて、何人かに発表させて、板書して……とやっていると、10分たってしまいます。前の時間の振り返りは、先生が1分で話すか、前の時間の振り返りカードから一文だけ読み上げるくらいにしておく。
導入の型(ズレを見せる、隠して見せる、実物から入る、予想・クイズ、先生のわざとの間違い、前の時間の疑問から入る、帯活動)については、こちらの記事にまとめています。
めあてを板書したら、子どもにノートに写させます。この数十秒の静かな時間が、導入から展開への切りかえになります。
展開(5〜35分):一人→みんな→一人
展開は、授業の中心です。30分あるので、その中でも流れを決めておきます。基本の流れは、一人で考える→みんなで考える→もう一度一人で考えるです。
一人で考える(5〜8分)
中心発問を出したら、まず一人で考える時間をとります。ノートに自分の考えを書く。いきなり全体で「どう思う?」と聞くと、手が挙がるのは考えるのが速い子だけです。全員が自分の考えを持つための時間を、最初にとります。
このとき、書けない子への手だてを用意しておきます。「書けない人は、黒板のこの言葉を使ってみて」「どちらか選ぶだけでもいいよ」。最初の一文が書ければ、あとは続けられる子が多いです。
みんなで考える(15〜20分)
一人で考えたら、ペアやグループで話し、それから全体で話し合います。ペアで話す時間は2〜3分、全体の話し合いは10〜15分くらいが目安です。
全体の話し合いでは、子どもの考えを板書していきます。前日に決めた板書の配置にそって、似ている考えをまとめ、ちがう考えを並べる。そして、子どもの発言を受けて、「今の考え、どういうこと?」「ほかの人はどう思う?」と切り返していきます。
展開で使える発問の型は、こちらの記事に14の型としてまとめています。
もう一度一人で考える(3〜5分)
話し合いが終わったら、もう一度、一人で考える時間をとります。「話し合いを聞いて、今はどう思う?」とノートに書かせる。最初に書いた考えと比べて、変わったところ、深まったところを書きます。
この「もう一度一人で」の時間は、つい省略しがちです。でも、話し合いで出た考えを、自分の考えとして持ち帰るためには、この時間が必要です。話し合いは、みんなの考えを「聞いた」だけでは、自分のものにならないからです。
まとめ・振り返り(35〜45分)
残り10分になったら、どんなに話し合いが盛り上がっていても、まとめに入ります。
まとめは、めあてに対する答えです。めあてが「〜はなぜだろう」なら、まとめは「〜だから」。子どもの言葉を使ってまとめ、ノートに書かせます。そのあとに、振り返り。今日の学び方や、次の時間に考えたいことを書きます。
まとめと振り返りの型(先生がまとめる、子どもの言葉でまとめる、キーワードを指定する、適用問題、はじめの考えと比べる、次への問いを残す、振り返りの視点を決める)は、こちらの記事にまとめています。
教科によって、45分の形は少しずつ変わる
導入5分、展開30分、まとめ10分。これは基本の形ですが、教科によって、展開の中身や時間のかけ方は少しずつ変わります。代表的なものを挙げておきます。
算数は、「問題をつかむ→自分で解く→解き方を比べる→まとめる→練習する」という流れが多いです。最後に練習問題の時間をとるので、まとめは早めに、35分ごろには終えておきたいところです。練習問題の時間は、まとめを「使えるか」を確かめる時間にもなります。
理科の実験の時間は、「予想→実験の方法を確かめる→実験→結果の整理→考察」と、展開が長くなります。実験そのものに15〜20分かかることもあるので、導入は短めに。実験の準備と片づけの時間も計算に入れておく必要があります。片づけで5分かかるなら、まとめは30分ごろには始めます。
国語の読むことの時間は、「音読→中心発問→一人で考える→話し合う→まとめ」が基本の流れです。音読を毎時間全文でやると時間がなくなるので、その日に読む場面だけにするのがおすすめです。
体育は、「準備運動・感覚づくり→めあての確認→練習やゲーム→振り返り」が多い流れです。運動の時間をできるだけ長くとりたいので、説明は短く、振り返りも3分程度に。集合と整列のきまりを最初に決めておくと、時間のむだがかなり減ります。
外国語は、「あいさつ・帯活動→めあて→聞く・話す活動→振り返り」の流れが多いです。帯活動を毎時間同じにしておくと、子どもが授業の始まりにすぐ切りかえられます。
どの教科でも共通しているのは、最後の振り返りの時間を先に確保することです。教科ごとの流れに合わせて、展開の中身を変えながら、まとめと振り返りの時間だけは守る。それが、45分を組むときのいちばんの基本だと思っています。
授業中の先生の動き
ここまで、45分の流れを書いてきました。最後に、授業中に先生が何を見て、どう動くかを書いておきます。
机間指導は「見る子」を決めて回る
子どもが一人で考えている時間、先生は教室を回ります。いわゆる机間指導です。
机間指導で大事なのは、ただ回るだけにしないことです。最初の1〜2分は、手が止まっている子のところへ行き、書き出しのヒントを出す。次の数分で、全体の話し合いで指名したい考えを探す。「この考えは最初に発表してもらおう」「この考えは、話し合いが進んだところで出してもらおう」と、指名の順番を考えながら回ります。
全員のノートを見ることは、45分の中ではできません。だから、今日見る子を3〜4人決めておくのもいい方法です。毎時間ちがう子を決めておけば、1週間で全員を見ることができます。
指名の順番で、話し合いを組み立てる
全体の話し合いでは、だれから指名するかで、話し合いの流れが変わります。
私なら、シンプルな考えから、深い考えへの順番で指名します。最初に、多くの子が書いている考えを発表してもらう。次に、少しちがう考えを発表してもらう。最後に、話し合いを深める考えを発表してもらう。こうすると、話し合いが自然に深まっていきます。
机間指導で見つけた考えを、「〇〇さん、さっきノートに書いていたこと、発表してくれる?」と指名すると、自分から手を挙げない子にも発言の機会をつくれます。
時間を見る
授業中は、時計を見るのを忘れがちです。特に展開の話し合いが盛り上がると、時間を忘れます。
私なら、時計を見るタイミングを決めておきます。導入が終わったとき(5分)、一人で考える時間が終わったとき(13分)、全体の話し合いの途中(25分)、そしてまとめに入るとき(35分)。この4回だけでも時計を見ると、時間配分が大きくずれることは減ります。
キッチンタイマーや、大型テレビにタイマーを表示するのも便利です。子どもにも残り時間が見えるので、「あと2分で話し合いを終わります」と言ったときの切りかえが早くなります。
時間が押したとき・あまったとき
どんなに準備をしても、授業は計画通りにいきません。
時間が押したときは、展開の「みんなで考える」時間を短くします。話し合いを途中で切るのは、もったいない気がします。でも、まとめがない授業より、話し合いが少し短い授業のほうが、子どもには残ります。「続きは次の時間の最初にやろう」と言って、まとめと振り返りに入ります。
どうしても時間がないときは、まとめは先生が1〜2分で示し、振り返りは次の時間の最初に書かせる。これが最後の手段です。
時間があまったときは、適用問題を出すか、振り返りを少していねいに書かせます。それでもあまったら、次の時間の導入を先取りするのもいい方法です。「次の時間は、こんなことを考えるよ。ちょっと予想してみて」。次の時間への問いを残して終われます。
授業の後にやること(5分)
授業が終わったら、5分だけ、次のことをやっておきます。
1つ目は、単元計画の表に一言書きこむこと。「計画通り」「話し合いが長くなり、まとめは次の時間へ」「〇〇の考えが多かった」。一言でいいので、今日の授業がどうだったかを書いておきます。これが、次の時間の準備と、来年の自分への資料になります。
2つ目は、振り返りをざっと見ること。全員分をていねいに読む時間はなくても、ざっと見て、次の時間の導入で使えそうな一文に付箋を貼っておく。それだけで、次の時間の導入の準備が終わります。
3つ目は、黒板の写真を撮ること。タブレットやカメラで、板書を1枚撮っておきます。授業の記録になりますし、次の時間の導入で「前の時間の黒板」を見せることもできます。
はじめのうちは、指導書の流れを借りていい
最後に一つ。はじめのうちは、毎時間、自分で45分を組み立てるのは大変です。そういうときは、指導書の展開例の流れを、そのまま借りていいと思っています。
指導書の展開例には、たいてい導入・展開・まとめの流れと、時間配分、発問の例が書いてあります。それをそのまま使って授業をしてみる。そして、授業の後に「どこで時間が押したか」「どこで子どもが止まったか」をメモしておく。それを何回かくり返すと、指導書の流れと自分のクラスの子どもとのずれが見えてきます。そのずれを直していくことが、自分の授業をつくっていくことなのだと思います。
おわりに
1時間の授業の流し方を、45分の時間配分と、授業中の先生の動きでまとめてみました。
授業の前に、板書と中心発問を決めておく。導入5分、展開30分、まとめ10分。展開は、一人→みんな→一人。授業中は、机間指導で見る子を決め、指名の順番を考え、時計を見る。授業の後に、5分だけ記録を残す。
最初のうちは、時間配分通りにいかないことのほうが多いと思います。それでいいんです。大事なのは、「どこで時間が押したか」を授業の後に振り返ること。それを続けていくと、少しずつ、自分のクラスに合った45分の流れが見えてきます。
次回は、評価の話です。授業の中で、子どもの姿をどう見取り、どう記録するか。
連載「はじめての授業づくり」
- #1 はじめての教材研究
- #2 はじめての単元計画づくり
-
3 1時間の授業の流し方(この記事)
- #4 はじめての評価
- #5 はじめての学習指導案


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