どうも。「せいたか先生」です。
5年生の説明文「固有種が教えてくれること」。アマミノクロウサギやニホンカモシカなど、日本にしかいない「固有種」を取り上げて、日本の固有種がなぜ多いのか、そして固有種をどう守っていくのかを述べる文章です。
この教材の特徴は、何といっても資料の多さです。写真、地図、表、グラフ。本文と資料を行ったり来たりしながら読む。5年生にとっては、ちょっと骨の折れる文章です。
今回は、この「資料と文章を一緒に読む」ことを、審議まとめの「情報の扱い方」から考えます。
審議まとめの「情報の扱い方」
審議まとめは、国語の「情報の扱い方」について、性質の異なる二つの力を、発達段階に応じて系統的に示すとしています。
- 情報と情報との関係を吟味し整理する力
- 情報の信頼性や妥当性を見極める力
前々回(#3)は後者の「信頼性・妥当性」の話をしました。今回は前者、情報と情報との関係を吟味し整理する力です。
あわせて、審議まとめは今の課題として、複数の情報を基にした思考、動画・図表の活用などの指導は「なお試行錯誤が続いている」とも書いています。グラフや表を使う学習、どの先生も苦労しているということですね。
「固有種」の文章と資料の関係
この文章は、主張を支えるために資料を使っています。【要確認:資料の種類と番号は手元の教科書で】
- 日本と外国の、固有種の割合を比べた資料
- 日本列島の成り立ちを示す地図
- 生き物の数の変化を示すグラフ
- 天然記念物や絶滅危惧種に関する資料
たとえば、「日本には固有種が多い」という主張のところで、比べた表やグラフが出てくる。「なぜ多いのか」のところで、日本列島が大陸から離れてきた地図が出てくる。
つまり、資料は、文章のどこかの主張と結びついている。この結びつきを読むことが、この教材の中心です。
ありがちなつまずき
この教材を扱うと、子どもはだいたい二つに分かれます。
一つは、資料を見ない子。本文だけ読んで、「固有種が多いのは、日本が島だから」と、それなりにまとめる。資料は「絵」だと思っている。
もう一つは、資料だけを見る子。グラフの数字は読めるけれど、それが文章のどの主張を支えているのかが分からない。「このグラフ、何のためにあるの?」と聞くと、答えられない。
どちらも、情報と情報との「関係」が見えていない、という点で同じつまずきです。
授業で足したい問い
「この資料がなかったら、どうなる?」
資料を一つ選んで、「この資料をなくしたら、文章のどこが困る?」と聞きます。
すると、子どもは本文に戻って、その資料が支えている部分を探し始めます。「ここに『多い』って書いてあるけど、どれくらい多いのか分からなくなる」。資料の役割が、文章との関係で見えてきます。
「筆者は、なぜこの資料を選んだ?」
次に、「同じことを伝えるのに、ほかの資料でもよかった?」と聞きます。
たとえば、数の比べ方。数そのものを比べるのか、割合で比べるのか。グラフにするのか、表にするのか。筆者が選んだ形には、理由があるはずです。
5年生の算数で割合を習う時期と重なると、「割合で比べてるから、国の大きさがちがっても比べられる」と気づく子も出てきます。教科をこえたつながりですね。
「この資料から、言えないことは?」
最後に、ちょっと難しい問い。「このグラフから、言えないことはある?」
グラフが示しているのは、ある期間の、ある数の変化です。そこから「これからも減り続ける」と言えるか。「原因は〇〇だ」と言えるか。資料が言っていることと、言っていないことを分ける。これは、高学年の「情報と情報との関係を吟味する」の、大事な一歩だと思っています。
書く単元へつなぐ
多くの教科書では、この説明文の後に、資料を使って自分の考えを書く単元が続いていると思います。
ここで使えるのが、読むときに考えた3つの問いです。
- 自分の主張のどこを、どの資料が支えているか
- なぜその資料(その形)を選んだのか
- その資料から言えないことまで、書いていないか
この3つをチェック表にしておくと、子どもは自分の文章を見直しやすくなります。読む単元で使った問いを、書く単元で自分に向ける。審議まとめが言う「同じ機能に関わる教材を関連付ける」の、具体的な形です。
1人1台端末で
資料を読む学習は、端末があると楽になります。教科書の資料を拡大して見る。グラフに自分で線や印を書き込む。友達の書き込みと見比べる。
審議まとめは、国語のICT活用について、子どもの特性に応じた学習を展開する上で有効で、多様性の包摂の観点からも重要だと書いています。紙の小さなグラフが見づらい子にとって、拡大できることの意味は大きいです。
まとめ
- 審議まとめは、情報の扱い方を「情報と情報との関係を吟味し整理する力」と「信頼性や妥当性を見極める力」の二つで系統的に示す方向
- 「固有種が教えてくれること」は、資料が文章の主張と結びついている教材。資料を「絵」にしない読み方を教える
- 「なかったらどうなる?」「なぜこの資料?」「言えないことは?」の3つの問いを、書く単元のチェック表にも使う
正直、グラフの読み方は、算数や社会でもやっています。国語でやるのは、「そのグラフで、筆者は何を言いたいのか」。ここだけは、国語にしかできない仕事だと思っています。
次回は、少し毛色を変えて、漢字の学習を考えます。
参考
- 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「国語」p.128、p.135、p.139 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第5学年及び第6学年 B書くこと(1)エ、C読むこと(1)ウ、〔知識及び技能〕(2)
- 今泉忠明「固有種が教えてくれること」(光村図書『国語 五』)

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