国語の教科書には、どの学年にも「話し合い」の単元があります。司会や記録の役割を決めて、議題について話し合い、決める。4年生なら学級の中のこと、5年生なら学校生活全体のこと、と広がっていきます。
この単元、正直に言うと、ちょっと扱いにくくありませんか?教科書の例を読んで、役割を確かめて、実際に話し合ってみる。でも、実際の話し合いになると、結局、声の大きい子の意見で決まったり、時間切れで多数決になったり。
今回は、審議まとめの「協働による考えの深化や合意」という言葉から、この単元を考え直してみます。
審議まとめが挙げている課題
審議まとめは、国語の課題として、こんな点を挙げています。
目的や場面に応じて、話したり聞いたりして考えを整理すること、思いや考えが相手に伝わるように話や文章を構成して表現すること、対話による合意形成や相互理解を図ることなどに課題がある。
そして、国語の「話や文章の機能」の一つとして、「協働による考えの深化や合意」(仮称)を挙げ、他者と互いの考えや情報を出し合い、吟味・調整することで理解や考えを深め、必要に応じて合意形成や意思決定に向かう機能、と説明しています。
ポイントは「吟味・調整」です。意見を出して、数で決める、ではない。出された意見を比べて、よいところを組み合わせたり、条件を足したりして、みんなが納得できる形に調整する。
連載でも書いた「納得解」
これ、以前の連載「次期学習指導要領を読む」で書いた、特別活動の話と重なります。審議まとめは、学級会について、安易な多数決ではなく「納得解」「暫定解」をつくる話し合いを求めていました。
国語の話し合いの単元と、学級会。目指している方向は同じです。違うのは、国語では話し合いの「言葉」そのものを学ぶということ。どんな言葉を使えば、意見を比べたり、まとめたりできるのか。
話し合いの「言葉」を教える
国語の単元で教えたいのは、こういう言葉です。
比べる言葉
- 「〇〇さんの意見と△△さんの意見は、〜というところが同じですね」
- 「ちがうのは、〜のところですね」
条件を足す言葉
- 「〇〇さんの意見に、〜という条件をつけたらどうですか」
- 「雨の日だけ、△△にするのはどうですか」
確かめる言葉
- 「〜ということで、みなさんいいですか」
- 「まだ納得できていない人は、どこが気になりますか」
最後の「どこが気になりますか」。これが入ると、話し合いの質が変わります。多数決で負けた側の気持ちを、言葉にする場面ができるからです。
単元の流れのイメージ
①教科書の例を「言葉」で読む
教科書の話し合いの例を読むとき、「この司会の人は、どんな言葉で意見をまとめた?」と、言葉に注目させます。比べる言葉、条件を足す言葉、確かめる言葉に色分けしてみる。
②小さな議題で練習する
いきなり大きな議題ではなく、5分で決まる小さな議題で練習します。「今週の朝の歌、どれにする?」くらいの。そこで、①の言葉を一回は使ってみる。
③本番の議題で話し合う
本番の議題は、本当に学級で決める必要があることにします。お楽しみ会の内容、休み時間のボールの使い方など。国語の単元で決めたことが、本当に学級で実行される。これが、子どもにとっての「目的」になります。
④ふり返る
最後に、「どの言葉で話し合いが進んだか」をふり返ります。録画や記録があると、具体的にふり返れます。
学級会と、どう分けるか
「それって、学級会でやればいいのでは?」という声もあると思います。
私は、国語の単元を学級会の「準備体操」と考えています。国語で話し合いの言葉を学び、学級会でそれを使う。学級会で困ったことを、また国語でふり返る。
審議まとめは、教科等横断的な言語能力の育成について、「国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて、言語能力を高めるための学習活動の充実」を挙げています。国語は「要」、つまり言葉の使い方を学ぶ場所。学級会は、それを実際に使う場所。そういう関係です。
気をつけたいこと
話し合いの単元で一番気をつけたいのは、話さない子のことです。
人前で意見を言うのが苦手な子にとって、話し合いは苦しい時間です。付箋やホワイトボード、端末の共有機能で、書いて意見を出せる場面をつくる。ペアで話してから全体に出す。そういう段階を踏むと、話し合いに参加できる子が増えます。
合意形成は、全員が話すことではなく、全員の考えが場に出ることだと思っています。
まとめ
- 審議まとめは、国語の課題として「対話による合意形成や相互理解」を挙げ、「協働による考えの深化や合意」を話や文章の機能の一つにしている
- 国語の話し合いの単元では、「比べる言葉」「条件を足す言葉」「確かめる言葉」を教える。特に「どこが気になりますか」が効く
- 国語は話し合いの言葉を学ぶ場所、学級会はそれを使う場所。書いて参加できる工夫も
多数決が悪いわけではありません。ただ、多数決の前に「どこが気になりますか」を一回挟む。それだけで、教室の空気は少し変わります。
次回は、国語の最後として、読書と学校図書館の話です。
参考
- 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「国語」p.127、p.133、p.139 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第3学年及び第4学年・第5学年及び第6学年 A話すこと・聞くこと(1)オ
- 光村図書『国語』4年「クラスみんなで決めるには」、5年「よりよい学校生活のために」
- 関連記事:安易な多数決をやめてみる 「納得解」「暫定解」をつくる学級会と、校則を話し合う学校(連載「次期学習指導要領を読む」)


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