4年生の「面積」。1㎠のマスを数えるところから始まって、長方形・正方形の面積の公式、そしてL字形のような、長方形を組み合わせた形の面積へと進みます。
このL字形の授業、算数の研究授業でもよく見かけます。理由は簡単。求め方がたくさん出るからです。
今回は、このL字形の授業を、審議まとめが算数で言っている「統合的・発展的に考える」という言葉から見直してみます。
審議まとめの見方・考え方
審議まとめは、算数・数学の見方・考え方について、現行の「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、根拠を基に筋道を立てて考え、統合的・発展的に考えること」を基本的に維持しつつ、批判的思考やメディアリテラシーの観点も踏まえて見直し、小・中・高で文言を統一するとしています。示されている方向は、「事象や言説を数理の視点から捉え、論理的、統合的・発展的、批判的に考察すること」です。
「統合的・発展的」は、今の学習指導要領にもある言葉です。でも、正直、授業でどういう姿のことなのか、ずっとつかみにくかった。審議まとめも、「論理的」「統合的・発展的」「批判的」は必ずしも同時に働かせるものではない、とわざわざ注をつけています。
L字形の授業は、この「統合的・発展的」が、目に見える形で出てくる数少ない授業だと思っています。
L字形の求め方
L字形の面積の求め方は、子どもからだいたい次のようなものが出てきます。
- たてに切る:二つの長方形に分けて、たす
- 横に切る:別の向きで二つの長方形に分けて、たす
- 大きな長方形からひく:欠けている部分も含めた大きな長方形をつくり、欠けている部分をひく
- 移動する:一部を切って動かし、一つの長方形にする
- 同じ形を2つ合わせる:(形によっては)同じL字形を2つ組み合わせて長方形にし、2でわる
授業では、これらを発表させて、「どれも正しいね」で終わることが多い。でも、ここからが「統合的・発展的」の出番です。
「統合的」に考える:どれも同じところは?
たくさんの求め方が出たら、「これ、全部に共通していることは?」と聞きます。
子どもは考えます。「全部、長方形にしてる」「知ってる形にしてから計算してる」。
これが「統合的に考える」です。ばらばらに見える方法を、一つの考え方でまとめる。L字形の面積の求め方は、どれも「長方形の面積の公式が使える形にする」という一つの考え方でまとめられます。
ここまで言えると、子どもにとって「求め方がたくさんあった」は、「一つの考え方の、いろいろな使い方」に変わります。
「発展的」に考える:ほかの形でも使える?
次に、「この考え方、ほかの形でも使える?」と聞きます。
コの字形、凸の字形、階段のような形。「長方形にすればいい」という考え方を使えば、どんな形でも求められるのか。子どもに形を作らせて、友達に出題させるのも盛り上がります。
さらに、「長方形にできない形は?」と聞くと、5年生の三角形や平行四辺形の面積につながります。5年生では、平行四辺形を切って動かして長方形にする。三角形を2つ合わせて平行四辺形にする。4年生のL字形で使った考え方が、5年生でもそのまま使える。
これが「発展的に考える」です。今学んだことを、新しい場面に広げていく。
説明させるときの言葉
審議まとめは、小学校算数でも、中・高の論証につながる「論理的に説明する活動等を充実する」としています。
L字形の授業でいえば、求め方を説明するときの言葉を、少し丁寧にします。
- 「まず、〜のように切ります」
- 「そうすると、長方形が2つできます」
- 「それぞれの面積は、〜だから」
- 「合わせると、〜になります」
「まず」「そうすると」「だから」「合わせると」。この順番の言葉は、算数の説明の型として、ほかの単元でも使えます。証明の一番最初の練習だと思っています。
教え方のバランス
審議まとめの算数のページには、指導方法について、「具体的な事象から問題を発見・解決させる帰納的な指導方法」と「まずは教師が原理・法則等を教える演繹的な指導方法」を、子どもの実態に応じてバランスよく使い分けることが必要、と書いてあります。
L字形の授業は、帰納的な指導の代表例です。子どもに考えさせて、いろいろな方法を出させる。でも、全員が自分で方法を思いつけるわけではありません。
私は、自力解決の時間に手が止まっている子には、「大きな長方形を書いてみたら?」「線を一本引いてみたら?」とヒントを出します。全員に同じヒントを出すのではなく、必要な子に必要なだけ。そして、比べ合う時間に、その子が自分のやり方を説明できればいい。
まとめ
- 審議まとめは、算数の見方・考え方に「論理的、統合的・発展的、批判的に考察すること」を示す方向。「統合的・発展的」は今もある言葉だが、授業の姿が見えにくかった
- 4年「面積」のL字形は、「全部に共通することは?」(統合的)、「ほかの形でも使える?」(発展的)と問うと、この言葉が授業で見える形になる
- 説明の型「まず・そうすると・だから・合わせると」は、論証の最初の練習になる
「全部、長方形にしてる!」。その一言が出た瞬間、授業は一段深くなります。
次回は、2年生のかけ算九九から4年生のわり算まで、つまずきの連鎖と学び直しを考えます。
参考
- 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「算数、数学」p.165〜166、p.170、p.173 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」算数 第4学年 B図形(5)、第5学年 B図形(3)
- 関連記事:「深い学び」がずっとつかみにくかった理由 「統合的な理解・総合的な発揮」で何が見えるようになるか(連載「次期学習指導要領を読む」)


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