どうも。「せいたか先生」です。
3年生の冬といえば、「モチモチの木」ですねぇ。滝平二郎さんの切り絵の挿絵も印象的で、表紙を見ただけで「あ、モチモチの木だ」と思い出す先生も多いんじゃないでしょうか。
この物語で、子どもたちが必ず話題にするのが、「豆太は、おくびょうなのか、勇気があるのか」という問いです。最後の場面で、豆太は夜中にひとりで医者様を呼びに走る。でも、そのあとまた、しょんべんにじさまを起こす。「結局、おくびょうなままじゃん」と言う子もいれば、「いや、勇気があるんだよ」と言う子もいる。
ということで今回は、この問いを中心に、「モチモチの木」の教材研究をしてみます。
教材の特徴
まず、この物語の特徴を押さえておきます。
- 中心人物:豆太(5歳)
- 対人物:じさま(64歳)
- 場面:峠の猟師小屋。豆太とじさまの二人暮らし
- 語り手:昔話のような語り口(「〜だぞ」「〜とさ」)
この語り口が、この物語の大きな特徴です。語り手が、豆太のことを「全く、豆太ほどおくびょうなやつはない」と言い切るところから始まる。子どもたちは、この語り手の言葉をそのまま受け取って、「豆太はおくびょう」と読み始めます。
「おくびょう」は誰の見方か
ここが、教材研究の一番のポイントだと思っています。
物語の最初で、豆太を「おくびょう」と言っているのは語り手です。豆太自身ではありません。そして、じさまは、夜中にしょんべんに起こされても、ちっとも嫌な顔をしない。
つまり、「豆太はおくびょう」というのは、誰かから見た豆太なんです。それが本当にそうなのかは、読み進めながら確かめていく必要がある。
授業では、最初に「豆太って、どんな子?」と聞いて、子どもたちの最初の印象を出させます。だいたい「おくびょう」「こわがり」が出てきます。それを黒板に残しておいて、最後の場面を読んだあとに、もう一度同じ問いを投げかける。最初と最後で、子どもたちの答えがどう変わるか。それが、この単元の一番面白いところです。
山場:医者様を呼びに行く場面
物語の山場は、じさまが腹痛で苦しみ出して、豆太が夜道を走る場面です。
ここで注目したいのは、豆太の行動と気持ちです。
- 「医者様をよばなくっちゃ。」と、表戸を体でふっとばして走り出す
- 外は霜が足にかみついて、血が出る
- 痛くて、寒くて、こわかったから、なきなき走った
- でも、大すきなじさまの死んじまうほうが、もっとこわかった
この最後の一文が、とても大事です。豆太は、こわくなくなったわけではない。こわいまま、走っている。もっとこわいことがあったから、走った。
子どもたちに、「豆太は、こわくなかったの?」と聞いてみてください。「こわかった」と答えるはずです。じゃあ、「こわいのに、なんで走れたの?」。この問いで、子どもたちは、豆太の中にある「じさまへの思い」に目を向けていきます。
じさまの言葉
医者様を呼んだあと、豆太はモチモチの木に灯がついているのを見ます。そして、元気になったじさまが、豆太にこう言います。
人間、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ。
この言葉が、物語の主題に深く関わっています。じさまは、豆太を「勇気のある子」とは言っていません。「やさしさ」があったから、やるべきことをやった、と言っている。
ここで、「勇気」と「やさしさ」の違いを子どもたちと考えてみるのも面白いと思います。豆太が走れたのは、勇気があったからなのか、やさしさがあったからなのか。
結末:また、じさまを起こす
そして、物語の結末。
元気になったじさまに、豆太はその晩から、また「じさまぁ」としょんべんに起こすようになります。
ここで、子どもたちは「やっぱり、おくびょうなままじゃん」と言います。それでいいと思っています。そこから、「じゃあ、豆太は変わったの?変わっていないの?」と問い返す。
私の考えとしては、豆太は変わっていないけど、変わったんだと思います。普段はおくびょうなまま。でも、大事なときには、やらなきゃならないことができる子だと分かった。それは、豆太が変わったというより、豆太の見え方が変わったのかもしれません。読んでいる私たちにとっても、じさまにとっても。
単元の流れ(案)
| 時 | 学習活動 |
|---|---|
| 1 | 通読。「豆太って、どんな子?」最初の印象をノートに書く |
| 2 | 登場人物と場面の確認。語り手の言葉に線を引く |
| 3 | 豆太とじさまの関係を読む(夜中のしょんべんの場面) |
| 4 | モチモチの木の昼と夜の姿を比べる |
| 5 | 山場:医者様を呼びに行く豆太の気持ちを読む |
| 6 | じさまの言葉を読む。「勇気」と「やさしさ」 |
| 7 | 結末を読み、「豆太は変わったのか」を話し合う |
| 8 | 最初の印象と比べて、豆太について自分の考えを書く |
発問例
- 豆太って、どんな子?(最初と最後で同じ問い)
- 「おくびょう」と言っているのは、誰?
- 豆太は、こわくなかったの?こわいのに、なぜ走れたの?
- じさまは、なぜ「勇気」ではなく「やさしさ」と言ったのだろう?
- 豆太は、変わった?変わっていない?
おわりに
「モチモチの木」は、「おくびょう」というレッテルを、読みながら少しずつはがしていく物語だと思っています。子どもたちも、きっと誰かから「〇〇な子」と言われた経験があるはずです。
豆太の見え方が変わる瞬間を、子どもたちと一緒に味わえるといいですね。


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