どうも。「せいたか先生」です。
がまくんとかえるくんの「お手紙」。2年生の教室で、これほど音読劇が盛り上がる教材はないんじゃないでしょうか。「ああ。」「いちども。」「ばからしいこと、言うなよ。」。会話が多く、二人の気持ちがはっきりしていて、演じたくなる。
今回は、この音読劇を、審議まとめが国語で言っている「協働による考えの深化や合意」という機能から見直してみます。
審議まとめの「協働による考えの深化や合意」
審議まとめは、国語の「話や文章の機能」として4つを示しています(いずれも仮称)。そのうちの一つが、
協働による考えの深化や合意:他者と協働して互いの考えや情報を出し合い、吟味・調整することを通して、理解や考えを深め、必要に応じて合意形成や意思決定に向かうことを促す機能
です。
これ、主に「話し合い」の学習を想定しているのだと思います。ただ、私は音読劇にもこの機能があると考えています。なぜなら、音読劇は、一人で読んでいたときの読みを、友達と出し合って、すり合わせる活動だからです。
音読劇が「発表会」で終わると
正直に言うと、私の音読劇は、長いこと「発表会」でした。
役を決める。練習する。発表する。ほかのグループが「声が大きかったです」「上手でした」と感想を言う。終わり。
楽しいんです。子どもも満足する。でも、「読むこと」の学習として何が深まったかと聞かれると、ちょっと答えに困る。声の大きさと、間違えずに読めたかどうか。それだけになっていました。
「どう読むか」を話し合う時間を真ん中に
音読劇を「協働」の時間にするには、練習の中に「どう読むか」を話し合う時間を入れることだと思っています。
例:「ああ。」をどう読む?
物語の始め、がまくんが「ああ。」と言う場面があります。お手紙を待つ時間が悲しいと言うがまくんの「ああ。」。
グループで、「この『ああ。』は、どんな声で言う?」と話し合わせます。
- 「ため息みたいに、小さく」
- 「泣きそうな感じ」
- 「もう、あきらめてる感じ」
意見が分かれます。分かれていい。そこで、「どうしてそう思った?」と本文に戻る。「だって、毎日ここにすわって待ってるって言ってるから、もう疲れてる」。
これが、審議まとめのいう「互いの考えや情報を出し合い、吟味・調整する」です。そして最後は、グループとして「こう読もう」を決める。これが「合意」です。
例:かえるくんは、なぜ自分で届けなかったのか
もう一つ、話し合いが深まるのが、かえるくんが手紙をかたつむりくんに頼む場面です。急いでいるはずなのに、なぜかたつむりくん?
子どもからは、「びっくりさせたかった」「自分で渡すのは恥ずかしかった」「かたつむりくんしかいなかった」…。答えは本文には書いていません。でも、この話し合いをしたグループは、かえるくんの台詞の読み方が変わります。
発表のときの「聞く」も変える
発表のときの感想も、少し変えます。「上手でした」ではなく、
- 「〇〇の台詞を、△△みたいに読んでいたのがよかった。わけは〜」
- 「ぼくたちのグループと読み方がちがった。〜と思って読んだのかな」
こういう感想の型を、最初に示しておく。そうすると、聞く側も、自分のグループの読みと比べながら聞くようになります。
審議まとめは、今の国語の課題として、「話すこと」「聞くこと」「話し合うこと」「書くこと」「読むこと」で学習過程が異なっていて、各領域の学習が個別のものと意識されてしまう、と書いています。音読劇は、読む・話す・聞く・話し合うが全部入っている活動です。だからこそ、つなげて考えやすいんですね。
審議まとめには「演劇」も
ちなみに、審議まとめは、調整授業時数制度の「裁量的な時間(学習枠)」で考えられる国語に関わる取組の例として、表現力やコミュニケーション力を高めるプログラムを挙げていて、その中に「演劇、伝統芸能、文芸創作に関する活動、show & tell 等」が入っています。
小学校2年生の音読劇は、もちろん国語の時間でやるものです。ただ、こういう表現活動が、これからもっと重視されそうだという方向性は、知っておいて損はないと思います。
評価はどうするか
音読劇の評価は、「上手さ」で見がちです。でも、それだと、もともと声が大きい子、人前で話すのが得意な子が有利になります。
審議まとめは、全体として「思考・判断・表現」の評価を、学習の過程での形成的評価と、単元の成果での総括的評価を分けて考える方向です。音読劇でいえば、
- 過程:グループの話し合いで、本文を根拠に読み方を提案できているか(ここは形成的に、声をかける材料に)
- 成果:「なぜその読み方にしたのか」を、自分の言葉で書けているか(ワークシートに一言)
私は、発表そのものより、後者の「一言」を大事にしています。人前で話すのが苦手な子でも、そこでは自分の読みを書けることが多いからです。
まとめ
- 審議まとめは、国語の「話や文章の機能」の一つに「協働による考えの深化や合意」を挙げている
- 「お手紙」の音読劇は、練習の中に「この台詞をどう読む?」と話し合う時間を入れると、読みを出し合い、すり合わせ、合意する「協働」の時間になる
- 評価は「上手さ」ではなく、「なぜその読み方にしたか」で見る
「ああ。」の一言で、グループが5分も話し合う。2年生って、案外すごいんです。
次回は、3年生の説明文「すがたをかえる大豆」で、読むことと書くことをつなげます。
参考
- 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「国語」p.128、p.133、p.140 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第1学年及び第2学年 C読むこと(1)・(2)イ
- アーノルド=ローベル作・三木卓訳「お手紙」(2年の各社教科書)
- 関連記事:「お手紙」の教材研究 がまくんとかえるくんの「しあわせな気もち」をどう読むか


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