どうも。「せいたか先生」です。
3年生の説明文「すがたをかえる大豆」。いり豆、煮豆、きなこ、豆腐、納豆、みそ、しょうゆ、えだ豆、もやし。大豆がこんなに姿を変えて、私たちの食卓に並んでいる。給食のメニューと結びつけて読むと、子どもたちの目がきらきらする教材です。
そして多くの教科書では、この説明文のすぐ後に、自分で調べた食べ物の「ひみつ」を説明する文章を書く単元が続いています。今回は、この「読む→書く」のつながりを、審議まとめの考え方で見直してみます。
審議まとめの「事実や知識の整理と理解」
審議まとめは、国語の「話や文章の機能」の一つとして、
事実や知識の整理と理解(仮称):事物や事象の構造・しくみ・意味・特徴・因果関係などを整理し、筋道立てて分かりやすく示すことを通して、理解を促す機能
を挙げています。説明文の多くは、この機能の文章です。
そして、教科書の構成については、同じ機能に関わる教材を関連付けて配置し、既に学んだ知識や技能を想起しやすくすることで、異なる領域の学習でくり返し使いながら理解を深めやすくする、と書いています。
「すがたをかえる大豆」と、その後の書く単元は、まさにこの関係です。
「すがたをかえる大豆」の骨組み
この説明文の特徴は、説明の順序がはっきりしていることです。
- はじめ:大豆は、いろいろな食品に姿を変えている。それは、昔の人々のちえのおかげ
- 中:工夫の種類ごとに、例を挙げる
- その形のまま、いったり煮たりして、やわらかく、おいしくする工夫
- こなにひいて食べる工夫
- 大切な栄養だけを取り出して、ちがう食品にする工夫
- 目に見えない小さな生物の力をかりて、ちがう食品にする工夫
- とり入れる時期や育て方を工夫した食べ方
- おわり:大豆のよいところに気づき、食べ方を工夫してきた昔の人々のちえにおどろかされる
この「中」の並び、なんとなく並んでいるのではありません。大豆の形が残っているものから、だんだん元の形が分からなくなるものの順になっている。ここに気づかせるのが、この教材の読みどころです。
よくある授業と、そのもったいなさ
この単元、よくある流れは、
- 段落ごとに、工夫と食品を表にまとめる
- 「はじめ・中・おわり」を確かめる
- 説明の順序の工夫に気づく
- (次の単元で)自分で食べ物を選んで調べ、説明する文章を書く
です。流れとしては、もう読む・書くがつながっています。ただ、実際にやってみると、4の段階で子どもは、3で気づいたことを使っていないことが多いんです。
調べたことを、調べた順に書いてしまう。「米は、ごはんになります。おもちになります。せんべいになります。おすしになります。」みたいに。順序の工夫は、読んだときには分かっていたのに、書くときには使えない。
読む単元で「分かった」ことと、書く単元で「使える」こととの間には、案外大きな溝があるんですね。
読むときから「書く」を意識させる
この溝を埋めるには、読むときから、「あとで自分が書くときに使う」と伝えておくことだと思っています。
読む段階で、「書き手の工夫」に名前をつける
順序の工夫に気づいたら、それに名前をつけます。子どもと相談して、「だんだん分からなくなる順」とか「形がかわっていく順」とか。名前があると、書くときに思い出せます。
ほかにも、
- 「はじめ」で、読み手に問いかけたり、身近な例を出したりしている
- 「中」の段落のはじめに、「〜という工夫があります」と、まとめを先に書いている
- 写真が、文章のどこと対応しているか
こういう工夫を、「わたしも使えるワザ」として、教室に掲示しておく。
書く段階で、「ワザ」を選ばせる
書く単元に入ったら、掲示した「ワザ」から、自分の文章で使うものを選ばせます。全部使わなくていい。「わたしは、米の文章で『だんだん分からなくなる順』を使う」と決めてから書く。
こうすると、子どもの文章は見違えます。「米は、そのままたいてごはんにして食べます。ついておもちにもします。こなにして、だんごやせんべいにもします。さらに、こうじの力をかりて、みそやさけにもなります。」。
調べるときの「情報」の扱い
書く単元では、子どもは本やインターネットで調べます。ここで、審議まとめが言っている「情報の扱い方」もつながってきます。
3年生の段階では、信頼性を厳しく問うのはまだ早い。でも、「どの本に書いてあった?」「その本は、誰が書いた本?」と聞く習慣は、3年生からつけておきたい。調べたことの最後に、本の名前を書く欄を作っておくだけでも違います。
評価について
審議まとめは、〔知識及び技能〕のうち「運用しながら深める」事項については、各領域の単元の思考・判断・表現の過程で活用できているかという点から形成的評価を行うことに重点を置き、複数の単元を経た後に総括的評価を行う場面を設けることなどが考えられる、としています。
この単元でいえば、「説明の順序」や「段落のまとめ」の知識は、読む単元のテストで見るより、書いた文章で使えているかで見る。そして、使えていなかった子には、次の説明文の単元でもう一度意識させる。一回で評価を終わらせない、という考え方です。
まとめ
- 審議まとめは、説明文の多くがもつ「事実や知識の整理と理解」の機能を軸に、読む教材と書く教材をつなげる方向を示している
- 「すがたをかえる大豆」の順序の工夫は、読むときには分かっても、書くときには使えないことが多い
- 読む段階で「書き手の工夫」に名前をつけて掲示し、書く段階で選ばせる。評価は書いた文章で見る
給食に豆腐が出た日、「これ、大切な栄養だけ取り出した工夫だ」と言う子がいたら、もう御の字です。
次回は、5年生の「固有種が教えてくれること」で、資料と文章の関係を考えます。
参考
- 中央教育審議会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)第2部第2章「国語」p.130、p.133、p.138、p.141 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1292164_00001.htm
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第3学年及び第4学年 B書くこと(1)、C読むこと(1)、〔知識及び技能〕(2)ア
- 国分牧衛「すがたをかえる大豆」(光村図書『国語 三下』)


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