「ごんぎつね」の教材研究 なぜ最後だけ「兵十」の視点に変わるのか

授業づくり

どうも。「せいたか先生」です。

4年生の秋といえば、「ごんぎつね」ですねぇ。長く教科書に載り続けている物語なので、先生自身が子どもの頃に読んだ記憶がある、という方も多いんじゃないでしょうか。そして、最後の場面で、なんとも言えない気持ちになった記憶も。

この物語には、教材研究で必ず押さえておきたいポイントがあります。最後の場面だけ、視点が変わるということです。

ということで今回は、この「視点の転換」を中心に、「ごんぎつね」の教材研究をしてみます。

教材の特徴

まず、物語の骨組みを押さえておきます。

  • 中心人物:ごん(ひとりぼっちの小ぎつね)
  • 対人物:兵十
  • 語り手:「わたし」が、村の茂平というおじいさんから聞いた話、という形
  • 場面:全部で6場面

物語の冒頭は、「これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です。」から始まります。つまり、この物語は、昔話として語り伝えられてきた話という形をとっています。

視点の転換

ここが、この物語の一番大きな特徴です。

1〜5場面は、ごんの視点で語られています。ごんが何を見て、何を思ったか。いたずらをして、兵十のおっかあの葬式を見て、「ちょっ、あんないたずらをしなけりゃよかった。」と思う。そして、つぐないとして、くりやまつたけを兵十の家に届ける。読み手は、ごんの気持ちをずっと知っています。

ところが、6場面になると、兵十の視点に変わります。

その明くる日も、ごんは、くりを持って、兵十のうちへ出かけました。

ここまではごんの視点ですが、そのあと、兵十が物置で縄をなっていて、ふと顔を上げると、きつねがうちの中へ入るのが見えた。「ようし。」と兵十は火縄銃を取って…。ここからは、兵十の目から見たごんが書かれています。

なぜ、最後だけ視点が変わるのか

ここが、授業の中心になる問いです。

子どもたちに、「6場面は、誰の目から見たお話になってる?」と聞いてみてください。最初は気づかない子も多いですが、「ごんの気持ちが書いてない」「兵十が思ったことが書いてある」と気づく子が出てきます。

では、なぜ視点が変わるのか。いろいろな考え方があると思いますが、私はこう考えています。

読み手は、ごんの気持ちを全部知っている。でも、兵十は知らない。

1〜5場面で、読み手はごんの気持ちをずっと見てきました。つぐないのために、くりを届けていることを知っている。でも、兵十はそれを知りません。兵十にとって、ごんは「こないだうなぎをぬすみやがったあのごんぎつね」のままです。

6場面で兵十の視点に変わることで、読み手は、ごんの気持ちを知っている自分と、ごんの気持ちを知らない兵十の間に立たされます。だからこそ、兵十が火縄銃を撃つ場面が、あんなに切ないんだと思います。

「ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました」

そして、物語の最後。

「ごん、おまいだったのか、いつも、くりをくれたのは。」
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。

この場面で、兵十はようやく、くりを届けていたのがごんだったと気づきます。

ここで、子どもたちに「ごんは、うなずいたとき、どんな気持ちだったと思う?」と聞くと、いろいろな考えが出てきます。

  • 「分かってもらえて、うれしかった」
  • 「でも、もう遅い。悲しい」
  • 「兵十をうらんでいない」

どれも、本文から読み取ることができます。この場面は、ごんの視点ではなく兵十の視点で書かれているので、ごんの気持ちは直接は書かれていません。だからこそ、読み手が想像する余地がある。

「青いけむり」

最後の一文も、大事です。

兵十は、火縄銃をばたりと、取り落としました。青いけむりが、まだ、つつ口から細く出ていました。

この「青いけむり」は、何を表しているのか。子どもたちと考えてみると面白いと思います。兵十の後悔?ごんの命?物語の余韻?正解はありませんが、情景描写から気持ちを読むという、高学年の「大造じいさんとがん」につながる学びにもなります。

単元の流れ(案)

時 学習活動
1 通読。初発の感想
2 登場人物と場面の確認。6つの場面に分ける
3 1場面:ごんのいたずら。ごんはどんなきつね?
4 2・3場面:おっかあの葬式とごんの後悔、つぐない
5 4・5場面:ごんの気持ちと、気づいてもらえない思い
6 6場面:視点の転換に気づく
7 「ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました」を読む
8 物語全体をふり返り、自分の考えをまとめる

発問例

  • ごんって、どんなきつね?(1場面と6場面で比べる)
  • 6場面は、誰の目から見たお話になっている?
  • なぜ、最後の場面だけ、兵十の目から書かれているのだろう?
  • ごんは、うなずいたとき、どんな気持ちだったと思う?
  • 「青いけむり」は、何を表していると思う?

おわりに

「ごんぎつね」は、何十年も教科書に載り続けている物語です。それだけ、子どもたちにも、先生にも、何かを残してきた物語なんだと思います。

視点の転換に気づいたとき、子どもたちは物語の読み方が一段深くなります。「誰の目から書かれているか」。この問いは、これから先、いろいろな物語を読むときに使える力になるはずです。

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