#9 週29コマって、誰が決めたんだろう

教育の動き・学習指導要領

「次期学習指導要領を読む」第9回です。4年生以上の年間の標準総授業時数は1015単位時間。これを35週で割ると、29。だから週29コマ。

教員になってから、ずっとそういうものだと思っていました。多くの先生にとっても、疑ったことのない数字ですよね。時間割を組むときも、29コマをどう埋めるかを考えるのが当たり前でした。

審議まとめを読んで、この「当たり前」が、実は思い込みに近いものだったと知りました。


今の総則には、「年間35週以上にわたって授業を行うよう計画する」と書かれています。これはあくまで「最低」の週数です。でも、この規定が、学校現場で「標準授業時数を35週で割り、週当たり29コマの授業を行う必要がある」という硬直的な認識につながっている、と審議まとめは指摘しています。

実際には、学校は1年間に40週くらい授業をしています。40週で割れば、週あたりのコマ数はもっと少なくてすみます。実際に、年間を通じて平準化して週28コマ以下にしている学校が、小学校で31.1%(令和7年度計画)まで増えているそうです。3校に1校近くが、すでに「29」をやめていることになります。


予備時数の話も出てきます。「いかなる事態があっても標準授業時数を下回ってはならない」という意識から、予備時数を多めに上乗せする傾向が続いてきた。かつては、標準を週2コマ分(年間約70コマ)以上上回る、年間1086コマを超える学校が数多くあったそうです。国が点検を促して大幅に減ったものの、今でも平均すると週1コマ程度は標準より多く設定されている、と書かれています。

でも、「不測の事態により標準を下回ったことのみをもって法令に反するものではない」ということは、すでに通知などで明確にされているのだそうです。私は、恥ずかしながらこのことをきちんと知りませんでした。

図1:標準授業時数の弾力化と時数精選の関係
図1:標準授業時数の弾力化と時数精選の関係。「標準を下回ってはいけない」「教科書を全部終わらせなければ」という二つの懸念を解消する考え方が示されています(出典:中央教育審議会 教育課程部会『次期学習指導要領等に向けた審議まとめ』(令和8年10月5日)第3部 資料編 p.462[資料1-5-4])

審議まとめは、次の学習指導要領で、この「年間35週以上」の示し方を見直し、年間40週を標準として、週あたりの授業時数が子どもの過重負担にならないよう計画する、という書き方にする方向を示しています。

さらに、年度当初は週のコマ数を少なめにして、学級が軌道に乗った中盤以降に増やす、といった柔軟なやり方もしやすくする、とあります。4月のあの慌ただしさを思い出すと、これはかなりありがたい話ですよね。

図2:現行教育課程の下で、具体的に週当たり時数を減らす工夫例
図2:現行教育課程の下で、具体的に週当たり時数を減らす工夫例。今の教育課程のままでも、授業日数などを見直せば週28コマで編成できるという試算の例です(出典:中央教育審議会 教育課程部会『次期学習指導要領等に向けた審議まとめ』(令和8年10月5日)第3部 資料編 p.460[資料1-5-2])

そして、第10回で書く調整授業時数制度を使えば、「週27コマの授業+研究・研修1コマ」という週時程が無理なく一般的にできる環境を目指す、とまで書かれています。


週29コマは、法律で決まっていたわけではなく、「35週」という最低ラインを割り算した結果が、いつの間にか習慣になっていたもの。そう知るだけで、時間割の見え方が少し変わります。

もちろん、週のコマ数を減らすには、学校全体での話し合いが必要です。一人の担任の判断で変えられるものではありません。でも、「29は動かせない数字ではない」と知っておくことは、学年会や職員会議で声を上げるときの、小さな支えになると思います。

当たり前を、一度疑ってみる。理科の授業で子どもに言っていることを、自分の時間割にも向けてみようと思いました。


参考にした資料

中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(令和8年10月5日)

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